香川県高松市塩江町の市塩江美術館で企画展「脇秀彦展 今を生きている」が開かれている。生と死をテーマに撮影した写真と棺おけを使ったインスタレーションが融合し、作家が想像する幻想的な死後の世界を演出するとともに命の尊さを訴えている。23日まで。


蛍光ピンクの棺おけが並び、死後の世界を演出する企画展=高松市塩江町、市塩江美術館


 脇さんは1978年生まれ、高松市在住。香川大経済学部を卒業後、県内の写真館、コマーシャルスタジオを経て2005年に写真家として独立。同市を拠点に東京などでもアーティスト活動を行っている。
 3年前、身近な存在だった同僚の死を経験した脇さん。同展は誰もが死ぬ運命を受け入れ、限りある命だからこそ現在の生き方をいま一度見つめ直そうという思いから企画した。
 地獄をイメージしたというインスタレーション「Happy Hell」は、蛍光ピンクの棺おけを5台配置。枯れゆく植物を人の一生と重ね合わせ、赤い花のヤリゲイトウを棺おけの窓からあふれるように装飾した。周囲にはピンク色に塗ったサクラの木などをちりばめ、人体の血管を思わせている。
 また、アンスリウムやバラなどの赤い花の中に女性が沈み血の池地獄をほうふつとさせる写真や、ロープで縛られた女性を撮り、生きているとしがらみが生じることを表現した写真作品が並ぶ。実際に棺おけに入ることができるコーナーもあり、生死と向き合う工夫も凝らされている。
 このほか、脇さんが7月に発売した写真集から抜粋した作品21点も展示している。
 入場料は一般300円ほか。10日の午後2時からは脇さんと同館学芸員による作品解説がある。問い合わせは高松市塩江美術館、電話087-893-1800。

(四国新聞・2022/10/05掲載)


高松市塩江美術館



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