地域が華やぐ秋祭りの季節がやってきた。新型コロナウイルスの影響で過去2年間中止が相次いだ香川県内では、3年ぶりに“復活”の動きが広がる。感染対策で規模縮小などは行うものの、各祭りの主催者は「伝統を守るため、知恵を絞りたい」「少しずつでもコロナ前に近い形で実施できれば」と意気込む。


3年ぶりに復活する県内各地の秋祭り(コラージュ)

3年ぶりに復活する県内各地の秋祭り(コラージュ)


 西讃を代表する秋祭り「さぬき豊浜ちょうさ祭」は7~9日に開催。密集、密接を回避するため、20台以上のちょうさ(太鼓台)が集結する「かき比べ」を取りやめるなど規模を縮小するが、3年ぶりの開催を喜ぶ声は多いという。実行委の合田等会長は「長い歴史を持つ伝統行事。その灯を消すわけにはいかない。できるだけ用心して行い、復活ののろしを上げたい」と力を込める。



 22日開催の三木町の秋大祭「獅子たちの里 三木まんで願。」は、大獅子の練り歩きを中止する代わりに、大獅子4体を展示して子どもたちが触れ合える機会を設ける。町の担当者は「伝統文化の獅子舞を守っていくためにも、今年は何とか開催したかった。まちの活性化にもつながってくれれば」と話す。
 「高松秋のまつり 仏生山大名行列」は従来の2日間開催を、16日の1日間のみに短縮。3年ぶりに殿様や姫に扮(ふん)した一行が「お成り街道」と呼ばれた往時の面影を残す参道を練り歩く。感染対策では▽花火大会の中止▽仏生山公園内での飲食スペースの廃止―などを講じる予定。
 過去2年間神事のみを行っていた神社では、一部の行事を再開する動きも。石清尾八幡宮(高松市)は、秋季大祭を締めくくる「みこし渡御」を復活させる。ただ、担ぎ手の密集を防ぐため、みこしは台車で押して練り歩く方式に変更。千人以上が参加していた渡御行列も、人数を半数ほどに絞るという。田村神社(同)は、地元の獅子組による獅子舞奉納を再開。金刀比羅宮(琴平町)は、みこし渡御は3年連続で中止するが、神事場での行宮(あんぐう)祭や三穂津姫社でみこし展示を開催する。

(四国新聞・2022/10/06掲載)


関連情報