スロベニアの女性アーティスト、エバ・ペトリッチさんの個展が、香川県高松市松島町のホワイトキューブつくもギャラリーで開かれている。レースなどを組み合わせた装飾が繊細な影を生み出し、幻想的な空間を演出している。23日まで。


来場者に作品の主題などについて話すペトリッチさん(右)=高松市松島町

来場者に作品の主題などについて話すペトリッチさん(右)=高松市松島町


 ペトリッチさんはパフォーマンスや写真も手がける若手で、第6回うたづArt Awardビエンナーレ2022で優秀賞を受賞。現在開催中の国際芸術祭「BIWAKOビエンナーレ」にも出展するなど注目を集めている。新型コロナウイルス禍による入国制限が緩和されたのを機に来日し、高松での個展が実現した。
 今展の出品作は「ヘマトマ(集団的血腫)」と名付けられたインスタレーション。スロベニアのイドリア地方をはじめ、世界中の伝統的技法で編んだレースや漁網300点以上を組み合わせた最長約15メートルの装飾を天井に張り巡らせた。照明の工夫による陰影が、海の生き物をイメージした写真作品に落ちかかり、複雑な印象を生み出している。
 ペトリッチさんは「レースは人と人のつながりや時間、集合体の表現。この形には海と生命、影と光には人間の両面性などのメッセージを込めた」と説明。会場を訪れていた高松市の主婦、西尾貴美子さん(73)は「なぜレースを素材に選んだのか知りたくて訪れた。作家の生命観と空間の表現力を感じた」と作品に見入っていた。

(四国新聞・2022/10/15掲載)



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