香川県三豊市高瀬町の爺神山(とかみやま)(標高214メートル)の中腹にある四国霊場ミニ八十八カ所で長年の風雨によって傷み、首だけが残された石仏が修復され、安置されている徳成寺(同市高瀬町)で開眼法要が執り行われた。行方知れずだった胴体部分が思いがけず崖下で見つかり、つなぎ合わせることができた奇縁から、同寺は「願いを結ぶ」との意味を込め、「ゆいあみだ」と名付けた。


阿弥陀堂に安置された「ゆいあみだ」をお披露目する森住職=三豊市高瀬町、徳成寺

阿弥陀堂に安置された「ゆいあみだ」をお披露目する森住職=三豊市高瀬町、徳成寺


 首だけの状態になっていたのは、37番札所岩本寺(高知県四万十町)の本尊・阿弥陀如来が刻まれた石仏。昨年3月に徳成寺の森祐敬住職が巡拝中に目の当たりにして心を痛め、「何とかしたい」と改修を提案。賛同した地元有志の寄進によって新たな石仏を制作し、同年6月に開眼法要を行った。
 行方不明だった胴体部分は、新たな石仏制作中の同年5月、崖下約30メートルにあるのが見つかった。クレーンで引き上げ、首部分とつなぎ合わせて同寺に仮安置。つなぎ合わせた部分には金箔(きんぱく)を施した。正式に安置するため、今春には阿弥陀堂を境内に整備した。
 開眼法要は森住職を導師に9月21日にあり、出席した約20人に、「ゆいあみだ」の名前と共にお披露目した。


「ゆいあみだ」のお守りと御朱印

「ゆいあみだ」のお守りと御朱印


 開眼に合わせ、同寺はゆいあみだにちなんだオリジナルのお守りと御朱印の授与を始めた。お守りは、婚礼の引き出物として親しまれている「おいり」をモチーフにしたデザインで、「結」の文字を記している。鈴の付いたひもを同封しており、願い事をしながら、ゆいあみだの首の部分に結んでもらう。御朱印も、おいりをイメージした色とりどりの丸い形を背景にあしらっている。お守りは千円、御朱印は500円。
 森住職は「ゆいあみだ様とご縁を結び、皆さんの願いも結んでいただきたい」と話している。

(四国新聞・2022/10/24掲載)


徳成寺(Twitter)



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