観音寺市の琴弾八幡宮がある琴弾山の山上の高灯籠が今月末から11月初旬の4日間、ライトアップされる。高灯籠はかつて銭形砂絵「寛永通宝」と共に観音寺のランドマークだったとされ、近年は周囲に生い茂った雑木に埋もれてしまっていたが、地元の住民団体の要望で一部樹木の伐採が実現。再び観音寺港周辺の市街地から眺めることができるようになり、明かりをともして往時の風景をよみがえらせる。


伐採により観音寺港周辺の市街地が見渡せるようになった琴弾山の高灯籠=香川県観音寺市八幡町

伐採により観音寺港周辺の市街地が見渡せるようになった琴弾山の高灯籠=香川県観音寺市八幡町


 樹木の伐採を要望し、ライトアップを企画したのは、琴弾公園の魅力を高める活動に取り組んでいる「いいまちづくり観音寺輝き隊」(大西やえ子会長)。高灯籠に発光ダイオード(LED)のサーチライトを取り付け、今月29、30両日と11月4、5両日の午後6時半から午後8時半まで点灯する。
 高灯籠があるのは琴弾八幡宮本殿前の石段を下りた先。同団体のメンバーで郷土史家の三好兼光さん(71)=同市伊吹町=によると、1901年の「錦絵讃岐名所」に描かれた琴弾公園の錦絵には市街地から木製の高灯籠が見えている。当時、夜の観音寺港に出入りする船にとって、高灯籠の明かりが灯台の役割を果たしていたという。
 現在の高灯籠は御影石造りで、高さ6・5メートル。仮屋浦の漁港で使われていたが、埋め立てによって役目を終え、木製に代えて53年に奉納された。しかし、年月の経過とともに周囲がウバメガシなどの雑木に覆われるようになり、存在を知る市民は少なくなった。
 三好さんらは「歴史的景観が損なわれている」として、4年前から市や県に高灯籠周辺の環境整備を求めてきた。琴弾山一帯は瀬戸内海国立公園に含まれることから、県が文化庁に現状変更の許可を申請し、昨年12月に認められた。これを受けて県は今年3月、高灯籠の南西側の雑木約30本の伐採作業を行い、90度ほどの視界が開けた。
 今後は、三架橋付近などさらに広範囲の市街地から高灯籠が見えるように、南東側の樹木の伐採も要望していく。
 同団体は「夜の琴弾公園は暗いイメージがある。明かりをともすことで、まちを少しでも元気にし、夜型観光の目玉にしたい。また、琴弾八幡宮に参拝したときは高灯籠からの市街地の眺めも楽しんでほしい」としている。

(四国新聞・2022/10/28掲載)



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