トロンボーンの奏者だけでつくるアンサンブルやオーケストラのコンサート「トロンボーンフェスティバルin香川」が20日、香川県三豊市詫間町のマリンウェーブで開かれる。クラシックのイメージのある楽器だが、プログラムは全て幅広い世代に親しまれている歌謡曲で構成。柔らかく豊潤な音色が重なり合う新しいスタイルの舞台が楽しめそうだ。


練習に汗を流す出演者=三豊市詫間町、マリンウェーブ

練習に汗を流す出演者=三豊市詫間町、マリンウェーブ


 コンサートを開くのは関西と中四国のプロ奏者でつくる「トロンボーン・アンサンブル・カバーズ」。トロンボーンの魅力を発信しようと、瀬戸フィルハーモニー交響楽団(高松市)の日生貴之さん(兵庫県出身)が2006年に創設し、昭和歌謡やアニメソングを取り上げる公演のほか、動画配信も行っている。
 今回はソプラノからコントラバスまで全種類を使用する珍しいスタイル。トロンボーンの音色は人の声の響きに近いとされ、「アンサンブルはまるで合唱を聴いているような心地よさがある」と日生さん。腕を伸ばしたり縮めたりして音階を調整するため、奏者の動きと併せて鑑賞できるのも魅力だという。
 香川初となる公演にはカバーズの8人に加え、関西と中四国のトロンボーン愛好家でつくるオーケストラの約40人が出演。ゲストに高松市出身でNHK交響楽団所属の吉川武典さんを招く。プログラムの前半は第一線で活躍する吉川さんとカバーズが共演、後半は高松ウインドシンフォニー常任指揮者・内井規文さんのタクトで、出演者全員による大迫力の舞台を届ける。
 曲目は近年再び注目を集めている1970~80年代の歌謡曲が中心。布施明「君は薔薇(ばら)より美しい」、キャンディーズ「年下の男の子」、DREAMS COME TRUE「未来予想図II」、嵐「カイト」など10曲で、原曲に近い演奏で懐かしい気分に浸ってもらう。
 カバーズの設立は15年ほど前だが、活動を本格化させたのは新型コロナウイルス禍以降という。日生さんは「コロナ禍が音楽家の活動に与えた影響は大きく、コロナ後に多くの人に来場してもらうためには今から積極的に動いて認知度を高める必要がある」と理由を明かす。その上で「誰もが聴いたことがある曲を集めたので、ぜひ会場で体感して」と呼びかけた。
 午後2時開演。入場料は一般2500円ほか。問い合わせは同ホール、電話0875-56-5111。

(四国新聞・2022/11/17掲載)



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