天然素材の温かみを持つ木のおもちゃを、自分の手でこしらえてわが子に―。閉校した小学校の建物を利用した「木のおもちゃ学校」(香川県三豊市)では、特別なプレゼントが作れると聞き、跡地利用の一例を見てみようと訪ねてみた。


元々図書室として利用されていた明るい部屋。初心者でも木工機材が使えるよう指導してくれる

元々図書室として利用されていた明るい部屋。初心者でも木工機材が使えるよう指導してくれる


 建物は2016年に閉校した財田上小の校舎。黒板や時計などが残る教室には晩秋の日が差し込んで明るく、さわやかな木の香りでいっぱいだ。
 代表の浜田正志さん(68)は、保育や福祉職の経験から木のおもちゃの可能性に気付き、1986年に高知県で製造・販売を手掛ける会社「なかよしライブラリー」を設立。定年退職後、暮らしに木を取り入れようというまんのう町の活動に共感し、2019年に香川にやってきた。
 その後、同小の跡地を活用する同社三豊工場の2階を借り、木のおもちゃ学校を開校。主に40歳以下の人を対象にプロの木工作家を育成するほか、地域貢献として一室を「木のおもちゃ美術館」とした。自分の手で子どもや、生まれてくる赤ちゃんのためにおもちゃを作りたいという人のために、平日は一般向けの木工教室も開催している。


廃校後農園や木工工場などに生まれ変わった旧財田上小。多くの人が出入りする

廃校後農園や木工工場などに生まれ変わった旧財田上小。多くの人が出入りする


 まずは展示作品を見学。ドングリやロボットなどのモチーフやパズル、クリスマスやお正月の飾りなどさまざまなおもちゃが並び、手の込んだひな人形の段飾りなどプロの作品もある。この中からどんな物を作りたいかイメージを絞り込む。
 いよいよ木工に挑戦。最初は電動糸のこに慣れるため、簡単な形を切り抜くことからスタートだ。曲線を切るときは木材の方を回すのがポイントだといい、最初はうまくできず切り口ががたつくが、徐々にこつがつかめてくると、なめらかに切れるようになる。
 続いて磨きの工程。紙やすりで角を取り、表面がつるつるになるまで磨くのは意外に楽しく、つい無心になる。多少いびつになっても、それも手作りの味だ。「講師がつきっきりで教えるのではなく、参加者自身が考えたり、工夫することも大切」と浜田さん。午前10時から午後4時までなら参加者は何時間でも取り組め、充実した表情で作品を持ち帰るそうだ。
 家で子どもたちと一緒に作ることで、子育てを豊かにしたいという人には木工キットも人気。「子どもも大人も、体験しないと成長しない。家の中でスマホやテレビに夢中になるより、親子で向かい合ってつくって遊ぶ、工夫して育ち合うって大切だなと思うんですよ」。そのための素材として、木はうって付けだ。
 長期休みなどには子ども向けの体験教室も予定している。教室の予約はインターネット(https://toyhof.net)から。工房の使用料は一人3千円(材料費別)。

(四国新聞・2022/12/10掲載)


木のおもちゃ学校



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