香川県高松市昭和町の高松市歴史資料館で、開館30周年を記念したコレクション展「ひらく。―高松の歴史13のキーワード」が開かれている。同館の約5万7千点の収蔵品の中から美術工芸品や古文書を厳選して紹介することで、高松が歩んだ歴史の一端をひもといている。25日まで。


名刀「伝江義弘」に見入る来場者=香川県高松市昭和町、市歴史資料館


 同館が30年にわたって収集した貴重な史料に触れ、高松の歴史や文化に愛着を持ってもらうのが狙い。弥生時代から昭和までの約60点を13のキーワードごとに並べている。
 「千紫万紅(せんしばんこう)」と題した章では讃岐ゆかりの絵師に着目。高松藩の御用絵師だった狩野常信らがネコとボタンの花を描いた作品のほか、京に遊学した文人画家・三木文柳が手がけた衆鱗図(しゅうりんず)のような絵画が目を引く。担当学芸員は「讃岐は瀬戸内海の水運によって上方との往来が活発で、江戸時代は文人同士の交流も盛んだったことが見て取れる」と説明する。
 港と漁業を取り上げた章では、水産界の先駆者として知られる藤川三渓(同市出身)が、魚介類448種の名称や習性を解説した「水産図解」(明治期)を展示。三渓が創設した水産学校の教科書に使用されたもので、本人が描いた魚介類の図はユーモラスだ。
 高松藩の彫物師・三谷茂義が仕上げた富士山と龍をあしらった刀のつばなど3点は初公開。讃岐に伝わる鎌倉末期~南北朝の刀工・郷義弘の名刀「伝江(でんごう)義弘」も同館では8年ぶりの公開とあって注目を集めている。
 入場料は一般200円ほか。問い合わせは高松市歴史資料館、電話087-861-4520。

(四国新聞・2022/12/15掲載)



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