瀬戸内海をテーマに、香川県と東京芸術大が連携して行う美術展「海は人を愛する『さと⇆うみ』展」が16日、香川県木田郡三木町池戸の池戸公民館で始まった。同大出身のアーティスト3人が県内の大学生らと瀬戸内の環境や文化、歴史についてリサーチを行い、それを踏まえて制作した現代アートを公開。海と里のつながりに思いを巡らせたインスタレーションなどが来場者の関心を集めている。25日まで。


瀬戸内海をテーマにしたインスタレーションを見る大学生。素材は海ごみ=三木町池戸、池戸公民館


 県と東京芸大が2001年度からの連携事業の一環として実施。県民が文化芸術に触れる機会の創出や若手芸術家の育成などを目的に取り組んでおり、20年度からは香川大創造工学部が参画している。本年度は県民がアーティストの作品制作や展覧会の開催準備に携わる「瀬戸内海分校プロジェクト」として展開している。
 リサーチは、いずれも東京芸大出身のアーティスト伊東五津美さん、坂田ゆかりさん、鉾井喬さんの3人と香川大生、高校生が参加して8月下旬に実施。さぬき市の海岸や土庄町豊島、瀬戸内海歴史民俗資料館などに足を運び、海洋環境や海ごみ問題について調査するとともに、展覧会場の三木町の歴史についても学んだ。今展の作品は、これらのリサーチの成果が反映されている。
 このうち、鉾井さんによるインスタレーション「Dual Nature(デュアル ネイチャー)」はリサーチ活動の中で拾った空の弁当箱や洗剤のボトルといった海ごみでかたどった島々や魚などを影絵のようにして表現。美しい瀬戸内の風景と、社会問題にもなっている海ごみの実態の「二面性」を巧みに映し出している。
 初日はオープニングセレモニーが行われ、池田知事と東京芸大の日比野克彦学長、香川大の筧善行学長らが出席した。
 17、18、24、25日の午後からは、遠隔通信の新システム「窓」を用いた高校生と大学生によるライブパフォーマンス「さと⇆うみ遠隔シアター」の上演を予定している(悪天候の場合、一部内容を変更)。

(四国新聞・2022/12/17掲載)


「さと⇄うみ」展


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