フジコ・ヘミング思い語る 3日、高松でコンサート 「感じるままに聴いて」
心打つ演奏で“魂のピアニスト”と呼ばれるフジコ・ヘミングのコンサート「フジコ・ヘミング with N響メンバーの仲間たち」(四国新聞社など主催)が1月3日、香川県高松市で開かれる。香川県内での公演は4年ぶりというフジコに思いを聞いた。
―今回は指揮に元スロバキア国立放送交響楽団のマリオ・コシック、サポートはN響に籍を置く演奏家という顔ぶれ。それぞれ、どんな存在か。
コシック氏とは随分長いお付き合いになる。身振りを見ているととても素晴らしい指揮者だと感じるし、私はそういうことには敏感だという自負があるが、本人は有名になりたくないなどと嘆いていることもあるそうだ。N響のメンバーたちは、演奏から私のことを好いてくれているのが分かるので一緒に演奏することがとても心地よい。
―難曲を弾きこなすため、今も毎日3~4時間の練習を欠かさない。
「ラ・カンパネラ」もそうだが、1日でも練習を怠るとすぐに弾けなくなるので、毎日うんざりするほど演奏している。さまざまなコンサートで違ったプログラムを決めるけれど、その中で何か一曲、これ! といった曲を聴いてほしいというふうには考えていない。今まで文化放送音楽賞を受賞したこともあるし、反対に別のコンクールで得点としてはビリにつけられた曲もあるが、そんな曲でも世界的ピアニストの安川加寿子さん(1922―96年)や、“ピアノの詩人”と呼ばれたサンソン・フランソワさん(フランスのピアニスト、24―70年)には一番私が良かったと言ってもらえたこともあった。お客さま一人一人が、感じるままに聴いてもらえたらいいと思う。
―自身の音楽に多くの人が引きつけられる理由は。
多分“音”ではないか。50年前、私自身についてドイツの新聞で「音の文化(Klangkultur)」と大きな見出しで書かれたことがある。歌手がいい声を出すことが一番大切なように、ピアニストもきっと同じだと考えている。
―県内では2019年以来、コロナ禍をまたいで4年ぶりのコンサート。意気込みは。
年初のホールでのコンサートになるので思い出深いものになるだろう。コロナ禍になり、一時期コンサートができなかった期間はお休みをいただいていたと考えている。その間に時間をかけて練習した曲もあるので、ぜひ楽しみにしていていてほしい。
公演メモ
レクザムホール大ホールで午後3時開演。S席9800円ほか。チケットの取り扱いは同ホールのホームページのほか、各コンビニの店頭端末など。詳細はサンライズプロモーション東京のホームページ、https://sunrisetokyo.com/
(四国新聞・2022/12/30掲載)