昨夏、オランダのアムステルダム国立美術館で公開された讃岐漆芸の作品などを紹介するテーマ展が、高松市美術館(香川県高松市紺屋町)で開かれている。音丸耕堂ら香川が誇る漆芸家の代表作が並び、海外の美術ファンを魅了した表現力と色彩美を味わうことができる。3月26日まで。


アムステルダム国立美術館の展覧会に出品された漆芸作品も並ぶテーマ展=高松市紺屋町、市美術館


 アムステルダム国立美術館は、伝統からの脱却を模索した作品に焦点を当て、昨年7月1日から9月5日まで展覧会を開催。彫りの双璧と称された石井磬堂(けいどう)と高橋皖山(かんざん)や、いずれも漆芸の重要無形文化財保持者(人間国宝)の磯井如真と音丸耕堂の4人による計6点が出品された。全て市美術館が収蔵している。
 同館によると、展覧会には国内外から約8万人が訪れ、彫りの緻密さや意匠の美しさに注目が集まったという。今回のテーマ展は「讃岐漆芸の美」と題し、4人と讃岐漆芸の祖・玉楮象谷や、現代の人間国宝の山下義人ら計10作家による31点を展示した。
 このうち、音丸耕堂の「彫漆椿文手箱(ちょうしつつばきもんてばこ)」は箱全体にツバキをあしらった作品。昭和以降に色彩の幅が広がった色漆を塗り重ねて彫ることで、花びらや葉に奥行きを持たせている。石井磬堂の「狭貫彫堆黒香卓(さぬきぼりついこくこうじょく)」は、菊とボタンの花を写実的に表現しており、磬堂の精密な彫りの技術が見てとれる。
 入場料は一般200円ほか。問い合わせは高松市美術館、電話087-823-1711。

(四国新聞・2023/02/02掲載)



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