2020年度「県文化芸術新人賞」の受賞者で、国際的に活動する陶芸家佐々木誉斗(たかと)(35)=さぬき市出身=の個展が香川県高松市番町の香川県文化会館で開かれている。作家自身の中にあるイメージを造形した表現豊かな力作14点を展示。ドローイングも併せて紹介しており、完成に至るまでの創作世界を通覧できる。19日まで。


作品について解説する佐々木(左端)=香川県高松市番町、香川県文化会館

作品について解説する佐々木(左端)=香川県高松市番町、香川県文化会館


 佐々木は英国の芸大や東京芸大大学院などを経て、現在は安田女子大(広島県)で助教を務める。ドローイングを繰り返しながら思考や概念のイメージを造形するのが特徴で、国内外の展覧会に出品している。今回は同新人賞の受賞記念展として、英国時代から現在に至るまでの作品を展示した。
 このうち、苔(こけ)むした岩を思わせる新作「苔清水」は緑色と金色の鮮やかなコントラストが印象的。作家としての現在の自身のあり方を、清流の中にある岩に例えたものだという。筒のような形状の「熔」は、厚塗りした釉薬(ゆうやく)で粒状の磁器をつなぎ合わせたもので、装飾として使用される釉薬の新たな可能性を提示している。
 佐々木は「英国では既存の枠にとらわれずに制作することを学び、それと同時に日本の陶芸の素晴らしさも再認識できた。ぜひ自由な感性で鑑賞してほしい」と話している。
 入場無料。問い合わせは香川県立ミュージアム、電話087-822-0247。

(四国新聞・2023/2/9掲載)


香川県文化会館



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