2022年度の香川県文化功労者で漆芸家の石原雅員さん(63)=さぬき市=の個展「異素材の融合と色彩」が、香川県高松市番町の香川県文化会館で開かれている。漆芸の伝統技法に貝やガラスなどの素材を組み合わせ、独自のモチーフを表現した意欲作52点を紹介。色彩豊かで現代的なデザイン美の世界が堪能できる。26日まで。

 石原さんは、県漆芸研究所を修了し、重要無形文化財保持者(人間国宝)の音丸耕堂に師事。彫漆(ちょうしつ)の県指定無形文化財保持者に認定されており、県展知事賞や日本伝統工芸展の日本工芸会奨励賞など数多くの賞を受賞している。
 会場にはここ10年間の代表作を中心に展示。このうち「堆漆象嵌(ついしつぞうがん)重ね箱 荘園」は、堆漆で側面にあしらったストライプ状の模様が印象的。ササユリやキキョウなど四季折々の草花の形に加工した白蝶(ちょう)貝を装飾しており、優美な庭園の情景が思い浮かぶ。
 彫漆箱「熙代勝覧(きだいしょうらん)」は、江戸日本橋周辺の地図を彫漆の技法で緻密に再現した作品で、江戸時代の絵巻などを参考に当時の町並みを想像しながら制作したという。このほか、旅先で印象に残ったドイツの広場やフランスのルーブル宮殿などのユニークな額作品も目を引いている。
 石原さんは「自分が面白いと感じたものをデザインに反映させてきた。今後もこれまで見たことがないような作品を作りたい」と話している。
 入場無料。問い合わせは県漆芸研究所、電話087-831-1814。

(四国新聞・2023/02/22掲載)



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