香川県内で唯一の黒板専門メーカーのいわま黒板(香川県善通寺市)。同社では、オリジナルの黒板やホワイトボードを製作できるワークショップが開かれていると聞き、世界に一つだけの“板のノート”ができるまでを見てみたいと思い足を運んだ。


完成した黒板に早速チョークで絵などを描き、笑顔を見せる親子=香川県善通寺市文京町

完成した黒板に早速チョークで絵などを描き、笑顔を見せる親子=香川県善通寺市文京町


 同社は1936年創業。時代のニーズに合わせ、プロジェクターの映像が見やすい黒板、パソコンと接続して映像を映す電子黒板の販売も行っている。
 実は、面が黒い黒板と面が白いホワイトボードは同じ素材でできているそうだ。ともに鉄板から作られており、補強するため裏面にはベニヤ板を貼り付けている。同社では、耐久性が増すよう表面に釉薬(ゆうやく)を塗って高温で焼き付ける「ホーロー加工」を施した商品を扱っている。釉薬に含まれる顔料によって色を変えることができ、黒板にしたりホワイトボードにしたりするそうだ。黒板はチョークが付着しやすいよう表面に凹凸を付けているという。
 ワークショップは約1年前にスタート。企画した広報担当の角野加奈さん(25)は「黒板を使った経験はあっても作ったことはないはず。製造過程を知ってもらうことで愛着を育みたい」と話す。


協力して黒板作りに取り組む親子=香川県善通寺市文京町

協力して黒板作りに取り組む親子=香川県善通寺市文京町


 工場見学付きの要予約のプランのほか、イベント出展時にブースを設けてワークショップを開設。黒板やホワイトボードができるまでの一連の流れを手軽に学べるとあって親子での参加が多く、延べ約400人が体験したという。
 取材で訪れた2月上旬、香川県善通寺市文京町のZENキューブで開催されたワークショップには親子が参加していた。男の子が父親の手ほどきを受けながら真剣な表情で取り組んでいるのがほほ笑ましい。
 まずは黒板かホワイトボードかを選択。大きさはともに縦約20センチ、横約30センチで、黒板は黒と緑、グレー。ホワイトボードは白、ピンクなど約5種類から選べる。続いて、ベニヤ板に両面テープを貼り、黒板(ホワイトボード)を付けてから四方にアルミ製のフレームを取り付ける。最後にドライバーでフレームのねじを締めたら完成だ。
 15分程度で学校で目にしていた黒板のミニサイズ判が出来上がり、黒板にチョークで書き込むわくわく感を思い出した。
 なんとも、子ども心をくすぐられるワークショップだった。参加した人は、完成したものを家庭の伝言板用や、子どもの落書き用などとして活用しているそうだ。スマートフォンなど、画面上でさまざまなことを済ませる機会が多くなった現代。あえてアナログな物に触れることで、心が豊かになるかもしれない。

(四国新聞・2023/02/25掲載)


いわま黒板製作所



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