伝統技法、発想豊かに 高松 香川県漆芸研究所が修了展
香川県漆芸研究所(古川京司所長)の2022年度修了作品展「漆研(しっけん)展」が、香川県高松市番町の香川県文化会館で開かれている。同研究所の修了生らが伝統技法と自由な発想を組み合わせて仕上げた意欲作の数々が来場者を楽しませている。12日まで。
同展は、3年間の課程を終える修了生の実習成果を発表する場として毎年開催。今回は修了生7人と1、2年生16人、研究員4人が香川漆芸の技法で作り上げた箱や盆など計約150点を展示している。
修了生のうち、天雲わかなさん(21)=香川県高松市出身=は女性が晴れ着に合わせて履く下駄(げた)をモチーフにした「彫漆(ちょうしつ)ぽっくり下駄 喜」を出品。側面にはスイセンの花と七宝柄をあしらい、「この下駄とともに喜びに満ちた人生を歩んでほしい」との思いを込めたという。
石川七瀬さん(32)=北海道出身=は正倉院(奈良市)の宝物の水差しをイメージした作品を手がけ、蒟醤(きんま)で大きな花柄を描写することで日本と中東風のデザインを融合させている。このほか、漆を塗り重ねた板を使ったオリジナル絵本などユニークな逸品も注目を集めていた。
会場では1年生のテーマ研究をまとめたパネルや額作品、2年生による実習成果も紹介している。
(四国新聞・2023/03/07掲載)