西洋美術の変遷たどる ピカソらの版画200点紹介 高松市美術館・21日まで
高松市美術館(香川県高松市紺屋町)で、特別展「版画でたどる20世紀西洋美術」が開かれている。同館のコレクションを中心にアンリ・マティスやパブロ・ピカソら20世紀を代表する作家の版画約200点を展示。激動の時代の中で、新しい表現を模索してきた作家の挑戦が一望できる。21日まで。
同館では「20世紀以降の世界の美術(版画)」を収集方針の一つとして掲げており、今回はそれらを一堂に展示することで、この時代に大きく発展した版画表現の変遷をたどる。
このうち、マティスの「ジャズ」シリーズは、晩年に絵筆を持てなくなった作家が切り絵の技法を基に制作した作品。鮮やかな色彩と、切り絵ならではの生き生きとした画面構成がエネルギーを放っている。
米国のジャスパー・ジョーンズの数字をモチーフにした連作は、当時の版画には見られなかったという虹色のグラデーションが特徴。米国では20世紀半ば以降、版画工房の職人が作品を刷るだけでなく画家と共同制作するようになったといい、新たな技法を試行錯誤した一端がうかがえる。
このほか、緻密な彫りが見られるピカソの「貧しき食事」や、米ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルの著名人を題材にした連作など、版画独自の表現が味わえる。
入場料は一般800円ほか。問い合わせは同館、電話087-823-1711。
(四国新聞・2023/03/09掲載)