三豊の絶景に熱視線 CM、メディア登場相次ぐ 父母ケ浜、荘内半島、粟島、志々島 市、ロケツーリズム注力
三豊市の父母ケ浜や荘内半島がテレビコマーシャル(CM)のロケ地などとして登場し、脚光を浴びている。2022年には大手食品メーカーの人気商品に相次いで起用された。交流サイト(SNS)による発信などで、青い海や緑の島々を望む絶景スポットとして全国的に知られるようになり、ブランドイメージが高まったと言える。荘内半島の紫雲出山は桜の名所としてフランスの歴史ある新聞に紹介され、外国からも熱い視線が注がれている。
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「カフェオーレを飲んだ時に得られる、緩やかで、穏やかな心象風景を探していてここにたどり着いた」
江崎グリコのコーヒー乳飲料「カフェオーレ」の3月から放映されたCM「湖畔」編は父母ケ浜が舞台になった。制作チームは「静かにどこまでも気持ちが広がっていくような海辺と空の鏡面世界。一瞬で心を奪われ、ロケ地に即決した」と明かす。
「鏡面のような世界が本当に撮れるのか」と気になっていたというが、「イメージ通り、それ以上に美しい映像になった」と出来栄えに満足そう。「景色がCMのクオリティーを一段引き上げてくれた」と話す。
俳優の小栗旬さんが出演し、6月から放映されたサントリーのビール「ザ・プレミアム・モルツ」のCMは荘内半島でロケが行われた。小栗さんが「めちゃくちゃうまいビール飲みてー」と海沿いを自転車で走り、海の見えるテラスでジョッキに注いだビールをおいしそうに味わう。
テラスの撮影場所は「荘内半島オリーブ農園 オリカフェ」。残念ながら11月末で営業を終了したが、「絶景カフェ」としてひそかに話題を集めた。
父母ケ浜は9月から参天製薬の目薬「サンテFX」のCMにも起用された。
「あの風景が撮りたいと思って、ちゃんと撮影できる再現性があることは大きな魅力。場所も比較的アクセスしやすい」(カフェオーレCMの制作チーム)
市は今後もロケ誘致に取り組むとともに、ロケ地を訪ねて魅力に触れてもらうロケツーリズムによる観光振興に力を入れる考えだ。
努力が実った
紫雲出山がフランスの日刊紙「ル・フィガロ」電子版に「日本で桜を観賞するのに最も美しい場所」の一つとして12月14日に紹介された。ニューヨーク・タイムズに続く欧米主要メディアへの掲載で、海外からの関心の高さを裏付けた。
米グーグル日本法人によると、22年に都道府県名と一緒に検索された言葉の順位で香川は2位「漂流郵便局」(粟島)、3位「志々島」と三豊の二つの有人離島のワードがトップ3に入った。
届け先の分からない手紙を預かる現代アート作品の漂流郵便局は、「月9」と呼ばれる枠の人気テレビドラマ「ミステリと言う勿(なか)れ」(1~3月)で事件解決の重要な手がかりとなる場所として登場。美しい瀬戸内海の島に実在することが驚きを持って受け止められ、知名度を押し上げた。
志々島は樹齢1200年以上とされる大クスに加えて、高島孝子さん(88)家族が世話を続けている「天空の花畑」が観光客を引き付け、注目が高まっている。NHK番組で5月に「瀬戸内・不思議絶景と歴史の島」として取り上げられたのも一役買った。市観光交流局チーフマネージャーの石井紫さんは「大クスの保全、花畑の整備といった島の人たちの長年の努力が実った」と感慨深げだ。
12月23日には日本テレビの情報番組「ヒルナンデス!」の放送3千回記念で、メインMCの南原清隆さんらが父母ケ浜を訪れて石井さんの案内で夕景を撮影する様子が放送された。
三豊ブームはメディアでますます熱くなっている。
(四国新聞・2023/03/20掲載)