映像と音、融合楽しんで 美術家・山城知佳子さん個展 きょうから、丸亀・猪熊美術館
香川県丸亀市浜町の市猪熊弦一郎現代美術館で21日から、企画展「山城知佳子ベラウの花」が開かれる。国際的に活躍する映像作家、美術家の山城知佳子さん(47)の西日本エリアでは初めてとなる大規模個展で、映像と音を融合した独創的なインスタレーションが楽しめる。6月4日まで。
山城さんは那覇市生まれで、米軍基地や沖縄戦をモチーフにした映像や写真の作品を数多く発表。国際的な美術展や映画祭にも出展しており、今展では新作の「ベラウの花」をはじめ、近年の作品を中心に計18点の動画や写真を集めた。
開幕前日の20日には報道陣向けの内覧会があり、山城さんがそれぞれの作品の制作意図などを解説。パラオ語でパラオの意味を持つ「ベラウ」と名付けた新作は、戦時下の幼少期をパラオで過ごした自身の父親にスポットを当て、「私が想像した父の脳裏に映る幼い頃の記憶」をテーマに、パラオで8ミリフィルムを使って撮影を重ねたという。
展示では同館展示室の大きな空間を生かし、四つの映像作品を互いに関与させながら見せる試みに挑戦。それぞれの作品の音も意図的に混ざり合って聞こえるように工夫しており、山城さんは「歩きながら能動的に作品を鑑賞できるのが展覧会の魅力。音にも耳を傾けてもらい、(展示室を)何周もしてもらえれば」とアピールした。
初日の21日は午後2時から同館ミュージアムホールでアーティスト・トークを開催。開館時間は午前10時~午後6時。月曜休館。所定の観覧料が必要。問い合わせは同館0877-24-7755。
(四国新聞・2023/03/21掲載)