日本工芸会(本部・東京)による公募展の受賞作を集めた「第40回日本伝統漆芸展」が、香川県高松市紺屋町の市美術館で開かれている。漆芸界の重鎮から新進作家までが高い技術を駆使して仕上げた作品の数々が並び、来場者を魅了している。26日まで。


意匠を凝らした力作に見入る来場者=香川県高松市紺屋町、市美術館

意匠を凝らした力作に見入る来場者=香川県高松市紺屋町、市美術館


 同展は伝統の継承を目的に同会が毎年開催。東京など5会場で開かれる巡回展で、3会場目となった同美術館には全国から応募があった105点のうち、入賞9作品を含む全入選作品94点を出展。県内からは入賞3人を含む16人の作品が並んでいる。
 このうち、高松市美術館賞を受賞した同市の辻孝史さんは、竹ひごを編んで素地を作る藍胎(らんたい)などの技法で制作したオセロ「籃胎葡萄文奥賽羅盤(ぶどうもんおせろばん)」を出品。盤のふたにはブドウをデザインし、石は巨峰とマスカットの色を施した。
 さぬき市の松原弘明さんの彫漆(ちょうしつ)を用いた香合「双蝶(そうちょう)」は石川県輪島漆芸美術館賞を受賞。海を渡って旅するチョウ「アサギマダラ」をモチーフにしており、繊細さを感じさせる。MOA美術館賞に輝いた高松市の北岡省三さんの蒟醤(きんま)箱「万華(ばんか)」は、華やかな模様を金粉などを使って表現し、金色と黒色のバランスが取れた優美な作品となっている。
 このほか、いずれも蒟醤の重要無形文化財保持者(人間国宝)の山下義人さん=高松市=、大谷早人さん=同=の作品も目を引いている。
 倉敷市から訪れた石井重四郎さん(84)は、「多彩な作品が楽しめた。どれも素晴らしかった」と話した。

(四国新聞・2023/03/22掲載)


高松市美術館



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