香川県仲多度郡多度津町本通にある旧銭湯を改装した人気のアートカフェ「藝術(げいじゅつ)喫茶 清水温泉」に、ゲストハウス(簡易宿所)「空と家」がオープンした。旧銭湯のバックヤードにあたる住居部分を改修し、1棟貸しで最大9人が宿泊できる。26日には同地区で国の「重要伝統的建造物群保存地区」(重伝建)選定を目指す住民グループなどと連携し、内覧会を兼ねたイベント「本通で遊ぼう!」も開かれた。


旧銭湯の住居部分を改修して整備したゲストハウス「空と家」=香川県多度津町本通

旧銭湯の住居部分を改修して整備したゲストハウス「空と家」=香川県多度津町本通


 旧銭湯の清水温泉は大正末期に建てられ、1980年ごろまで営業。カフェは趣のあるたたずまいを生かして若者らを呼び込み、活性化につなげる目的で有志が2018年5月にオープンした。町内外から観光客が訪れ、重厚な造りの商家が並ぶ町並みの貴重なアクセントになっている。
 ゲストハウスはカフェを訪れる観光客らの滞在時間を延ばし、経済効果を地区全体へ波及させようと構想を温めてきた。住居として使われてきた平屋を改修して畳敷きの寝室や居間などを整備。銭湯の歴史を伝える大きめの浴室を備え、屋上には目玉のれんが造りの煙突を眺めながら多目的に使用できるテラスを新設した。裏庭も整えている。


昭和の趣を残すゲストハウス=香川県多度津町本通

昭和の趣を残すゲストハウス=香川県多度津町本通


 また、道向かいの飲食店「お惣菜処(そうざいどころ)てつや」と連携して観光客が行き交いやすいように周辺を再整備。隣接する別の旧商家を借り受け、趣を残しつつギャラリーのように使える「おのみち屋」を開設し、町並みにマッチした衣装のレンタル事業なども進めている。
 イベントは、カフェなどで活動する「多度津藝術塾村プロジェクト」と、住民グループ「たどつ本町筋を愛する会」、町の活性化に向けた官民連携組織の「まねきねこ課」の3者が合同で初めて企画。各施設の内覧会のほか、ワークショップや飲食販売、町並みの歴史・伝統が学べるブースなどを展開した。
 イベントは今後も定期的に開く方針で、古い町並みを活用しながら地区を盛り上げる。カフェオーナーの日高明道さん(59)は「みんなと協力しながら未来ある町のにぎわいを目指したい」としている。

(四国新聞・2023/03/27掲載)



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