主に植物をモチーフに制作する香川県高松市在住の版画家池田利夫を取り上げたコレクション展が、同市塩江町の市塩江美術館で開かれている。温かいタッチで身近な草花を表現するだけでなく、植物にまつわる知識も盛り込んだ木版画23点を紹介している。4月16日まで。


植物をモチーフにした木版画が並ぶ池田利夫展=香川県高松市塩江町、市塩江美術館

植物をモチーフにした木版画が並ぶ池田利夫展=香川県高松市塩江町、市塩江美術館


 池田は1928年に同市で生まれ、公務員として勤務する傍ら創作を始めた。地元版画家の下村宏らに師事し、83年には日本版画院展新人賞を受賞。「香川植物の会」に加入して植物観察に取り組みながら精力的に制作を続け、これまで複数の版画集を発表してきた。
 今回の出品作は版画集「植物図鑑」(98年)と「私の植物誌」(2000年)の中から選定。このうち色とりどりのチューリップを表現した「チューリップ狂物語」は、17世紀ごろのオランダで球根と取引されていたという羊やドレスもあしらうことで、当時の栽培ブームを伝えている。
 発芽してから枯れるまでを1枚の版画で表現した「カタクリの生活史」や、籠に盛られた「春の七草」も見どころ。緻密な描線からは池田の鋭い観察眼と探究心がうかがえる。
 入場料は一般300円ほか。問い合わせは同館、電話087-893-1800。

(四国新聞・2023/03/30掲載)


高松市塩江美術館



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