香川県産オリーブの果実から採取した酵母を使った日本酒「さぬきオリーブ酵母清酒」が、2020年度の商品化から3年を迎えた。香川県内メーカー4社による22年度の国内出荷量は、初年度の1・5倍に成長。日本酒の国内出荷が減少傾向にある中でも、都市圏の飲食店を中心に需要を伸ばしており、酵母を開発した香川県酒造組合(川人裕一郎会長)は「オリーブの実の酸味が感じられる風味で、とても料理に合う日本酒。香川独自の地酒として認知度が高まっている」としている。


国内出荷量を伸ばしているさぬきオリーブ酵母清酒

国内出荷量を伸ばしているさぬきオリーブ酵母清酒


 さぬきオリーブ酵母は、新規性や独自性の高い日本酒を開発しようと、同組合が県産業技術センター発酵食品研究所(小豆島町)と研究を重ね、16年に開発に成功。小豆島酒造(同)、西野金陵(琴平町)、綾菊酒造(綾川町)、川鶴酒造(観音寺市)の4社が同酵母を使って20年から清酒を商品化し、これまでに計50種類近く販売している。
 さぬきオリーブ酵母清酒の国内出荷量の詳細は非公表だが、21年度が前年度比19・1%増、22年度が24・6%増と好調に推移。東京など大都市圏の飲食店への納入が増えており、県内メーカーの日本酒全体の出荷量がここ3年間は横ばいで推移する中、大きな成長を見せている。



 日本酒の出荷量は全国的に減少傾向にあり、1970年代のピーク時からは4分の1程度に減少しているという。その中で、同組合はさぬきオリーブ酵母清酒に合う料理コンテストを開くなど、広報活動に注力。スペイン政府のコンクールにも出品して金賞を受賞するなどし、知名度が向上している。
 個性やブランド力のある日本酒が好まれる欧米向けの輸出も既に始めており、今後も国内外で出荷量の増加を見込む。同組合は「酵母の特性を各社がつかみ、より良い商品を開発している。品質をさらに磨き、香川を代表する酒に育てたい」としている。

(四国新聞・2023/04/12掲載)


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