東山魁夷せとうち美術館の春の特別展「京の百景」が、香川県坂出市沙弥島の同館で開かれている。37人の日本画家が描いた四季折々の京都の風景などが、会場を華やかに彩っている。6月4日まで。


日本画家37人が四季折々の京都の姿を描写した作品が並ぶ春の特別展=坂出市沙弥島、東山魁夷せとうち美術館


 同館では春と秋の年2回、特別展を開催。今回は京都府が、時代とともに変化しつつある伝統的な街並みや風俗などを絵画の中にとどめようと、1971年に京都ゆかりの作家に制作を依頼し、2年かけて出来上がった作品群「京の百景」118点のうち、37点を出展している。
 会場では京都を洛心、洛北、丹波、丹後など、八つのエリアに分けて作品を展示。小野竹喬の「鴨川夜景」は、ちょうちんがともる川床で、静かに夜の時間を楽しむ人々の様子を描いた。木下章の「醍醐の桜」では、豊臣秀吉も楽しんだ醍醐寺の桜が一面を鮮やかに埋め尽くしている。三豊市出身の岩倉寿の「笠置」は、豊かな自然をたたえる京都南部の町を描写した。
 合わせて、東山魁夷が京都を描いた同館所蔵の版画作品5点も展示。うち修学院離宮と比叡山は、京の百景でも三輪晃久、西山英雄がそれぞれ題材として取り上げており、作風の違いも見比べることができる。同館は「日本画が持つ繊細で独特の発色の美しさを楽しんでほしい」と来館を呼びかけている。

(四国新聞・2023/04/17掲載)


東山魁夷せとうち美術館



関連情報