弘法大師空海の誕生地とされる香川県善通寺市の総本山善通寺で29日、国指定重要文化財である五重塔の特別公開が始まった。来場者は、普段見られない内部の構造や塔からの眺めを満喫、歴史的建造物に親しんだ。


五重塔からの景色をこわごわ楽しむ来場者=香川県善通寺市、総本山善通寺

五重塔からの景色をこわごわ楽しむ来場者=香川県善通寺市、総本山善通寺


 公開は午前9時から午後4時まで。拝観料は一般300円、高校生以下100円、小学生未満無料。
 公開は例年、初層と第2層をゴールデンウイーク限定で行っているが、今年は空海の誕生1250年を記念して6月15日までの土・日曜日などにも実施する。
 現在の塔は、焼失や倒壊を経て1902年に完成した4代目。高さ約43メートルで、国内の五重塔では3番目の高さを誇る。塔の中心を貫く心柱(しんばしら)は、5層目の屋根からつり下げられた「懸垂工法」が使われている。
 訪れた人たちは、心柱が礎石から6センチほど浮いた様子を見学。懸垂工法が使われている五重塔が日本に3カ所しかないと説明を受け、感心した様子だった。
 また急階段を上って高さ7メートルほどの2層目まで行き、塔の外側部分の廻縁を体験。斜面状の板の上をこわごわと歩き、膝丈ほどの欄干にしがみつくようにして境内の景色を楽しんだ。
 友人と来た高松市の女性(69)は「足がすくんでドキドキしたけど、めったに入れない所。弘法大師のご利益をいただいたような気持ちになった」とうれしそうだった。

(四国新聞・2023/04/30掲載)



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