弘法大師空海の誕生1250年に合わせて、香川県善通寺市善通寺町の総本山善通寺境内にある観智院(佐伯行茂住職)は15日から、本尊の十一面観世音菩薩立像など木像3体の開帳を始めた。約100年前に安置されて以来初めてで、佐伯住職は「秘仏のご開帳は今回限りで、この先も予定はない。目に焼き付けてほしい」と話している。6月15日まで。


空海の誕生1250年に合わせて公開されている(右から)弘法大師座像、十一面観世音菩薩立像、不動明王像=香川県善通寺市善通寺町、観智院

空海の誕生1250年に合わせて公開されている(右から)弘法大師座像、十一面観世音菩薩立像、不動明王像=香川県善通寺市善通寺町、観智院


 同院は、807(大同2)年に空海が建立したと伝わり、安産や子育てにご利益がある本尊は「子安観音」として親しまれている。1913(大正2)年の火災で本尊が焼失したが、19年に高松市内の高松藩主松平公ゆかりの寺から仏像3体を譲り受け、新しい本尊、脇侍とした。
 普段は3体とも厨子(ずし)に安置されており、参拝者の目に触れることはないが、節目の年を祝おうと特別に公開を決めた。
 菩薩像は光背を含めた高さ124センチで、1本の木から作られた彫刻であることなどから、平安時代の作とみられる。脇侍の弘法大師座像(高さ38センチ)と不動明王像(同58センチ)は、いずれも江戸時代以前の作と推定されるという。
 本堂には参拝者が次々と立ち寄り、秘仏に向かって静かに手を合わせた。千葉県から帰省中という築地淳子さん(70)は「いいものが見られた。本当に美しい顔で、目の保養になった」とうれしそうに話した。
 公開は午前9時から午後5時まで。拝観無料。問い合わせは観智院0877-62-0369。

(四国新聞・2023/05/16掲載)



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