昨年5月に死去した書家の島田三光さん(香川県丸亀市)が生前、書の研究のため収集していた俳人・河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)の作品約350点が、7月4日から9日まで香川県高松市紺屋町の高松市美術館で公開される。展示会を開く島田さんの妻、幸子さんは「夫の遺志だった展覧会。ぜひ多くの人に見てほしい」と話している。


「櫻活けた花くづの中から一枝ひろふ」(138×34センチ)

「櫻活けた花くづの中から一枝ひろふ」(138×34センチ)


 河東碧梧桐(1873~1937年)は松山市出身の俳人。正岡子規の門下で高浜虚子と双璧と言われ、共に俳句革新運動に取り組んだ。後に五七五にとらわれない新傾向俳句を提唱し、「曳(ひ)かれる牛が辻でずつと見回した秋空だ」「赤い椿白い椿と落ちにけり」などの句がよく知られている。
 三光さんは県立高教諭を長く務め、「讃友書道会」を主宰する傍ら、若い時から碧梧桐の特徴的な書に魅力を見いだし、全国を巡って研究。碧梧桐を書の視点から読み解く研究者はごく少なく、三光さんの真摯(しんし)な姿勢は、碧梧桐の弟子だった人の家族から「大切にしてくれる人に譲りたい」と手紙などの寄贈を受けるほど信頼を得ていたという。
 今年が碧梧桐の生誕150年に当たることから、長年収集した資料を一堂に展示したいと希望していたが急逝。幸子さんが遺志を引き継いで一般公開することを決めた。
 会場では屏風(びょうぶ)や短冊、原稿など、おおらかで味わいのある碧梧桐の直筆作品約350点を展示。李白の漢詩を書いた4枚組の「望廬山瀑布(意=廬山の瀑布を望む)」など、作品からは息づかいが伝わってくる。
 入場無料。最終日は午後3時まで。問い合わせは島田さん、電話0877-22-8821。

(四国新聞・2023/06/15掲載)



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