香川県高松市庵治町にアトリエを構え、25年の短い生涯に多くの印象的な絵画を残した現代美術家、故中園孔二さんの作品を集めた企画展「中園孔二 ソウルメイト」が、丸亀市浜町の市猪熊弦一郎現代美術館で開かれている。多彩なバリエーションで描かれた作品220点を数々の資料とともに紹介。中園さんの過去最大規模の個展で、県内に拠点を移してからの作品も数多く展示されており、来館者の注目を集めている。9月18日まで。


中園さんの多彩な作品が楽しめる企画展=丸亀市浜町、市猪熊弦一郎現代美術館


 中園さんは1989年横浜市生まれ。2012年に東京芸術大学を卒業後、関東を拠点に制作活動を行った後、瀬戸内海を望む土地柄にみせられ、14年末に高松市へ移住、同市庵治町にアトリエを構えたが、翌15年に25歳で早世した。
 今回の企画展では07~15年に描かれた作品を七つのアプローチで紹介。「多層の景色」では、絵画の中に仕組まれた複雑なレイヤー(階層)構造に着目、1辺2メートル超の大型作品などを展示し、眺める距離によって異なる景色を楽しませる。
 この他、特異なキャラクターや「ひと」のようなイメージに焦点を当てた「ひとびと」、香川での制作活動を作品とともにたどる「場所との約束」などで、その絵画世界を体系的に紹介。「イメージの源泉」や「ソウルメイト―共に在るもの」では、ノートやスケッチブックに描かれた膨大な数のドローイング(線画)や書きつづった言葉、中園さんが収集していた書籍などを公開しており、別のアプローチで作者の思考を垣間見ることができる。
 中園さんの個展を企画した理由について、担当する竹崎瑞季学芸員は「インターネットを引用したり、漫画や映画から影響を受けたりした作品は現代社会を濃く映した新しい表現。香川との関わりも深い作家で、色彩感覚などは猪熊とも通じるところがあり、ぜひ皆さんに知ってもらいたかった」と話している。
 開館時間は午前10時~午後6時。月曜休館(祝日は開館、翌火曜休館)。所定の観覧料が必要。問い合わせは丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、電話0877-24-7755。

(四国新聞・2023/06/28掲載)


丸亀市猪熊弦一郎現代美術館



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