小豆島観光の新たな見どころを作り、住民をアートでつなげようと、7月8日から8月27日まで島内全域で「小豆島もうひとつの芸術祭」が開かれる。仕掛け人は「小豆島アートプロジェクト」(事務局・小豆島町)の石井純代表。ギャラリーはもちろん、カフェや寺にいたるまで島中にアートがあふれる期間を創出する。


苗羽小の児童に現代アートについて説明する石井さん=香川県小豆郡小豆島町、醤の郷現代美術館

苗羽小の児童に現代アートについて説明する石井さん=香川県小豆郡小豆島町、醤の郷現代美術館


 石井さんは長年大手電機メーカーで勤務し、メセナ(企業等による芸術文化活動への支援)にも携わってきた。退職後「自分のルーツである小豆島に、自分のできることで貢献したい」と、2019年に同町の祖父母の家を改装し、フランス人作家ジョルジュ・ルースさんの作品を設置。21年、隣接する旧小豆島醤油製造同業組合の建物を買い取ってリノベーション。植松奎二さん、中川佳宣さんらの作品を常設展示するほか、荒木経惟さん、森村泰昌さんらをはじめとする作品計2千点を収蔵する「醤(ひしお)の郷(さと)現代美術館」をオープンした。
 ジョルジュ・ルースさんの作品は19年、22年の瀬戸内国際芸術祭の参加作品になり、連日大勢の観覧者が来場。しかし、閉幕後との落差から「地元にとっては、瀬戸芸が開かれない2年間こそが大切だと痛感した」と石井さん。そこで、行政主導の“上から”ではなく、民間からアートによる町おこしをしようと「小豆島もうひとつの芸術祭」を提案した。
 石井さんが声をかけると、普段からアートにまつわる活動をしている所だけでなく、民宿やカフェからハムの製造所、寺まで一見アートとは縁遠いと思われる業種からの賛同を得、最終的に展示会場は32カ所まで増えた。展示内容は島内在住のアマチュア写真家の作品から、オリジナル雑貨の展示販売、彫刻家・空充秋さんの作品がある庭園の公開など、施設によりさまざま。醤の郷現代美術館の収蔵品から貸し出された現代アート作品を展示する施設もある。
 現在はボランティアチームも立ち上がり、ミーティングなどを開いて、楽しんで回れるようマップやスタンプラリーの台紙を作るなど準備を進めている。
 問い合わせは小豆島アートプロジェクト、080-6725-9494。

【参加予定施設】醤の郷現代美術館、MOCA HISHIO ANNEX、ジョルジュ・ギャラリー、妖怪美術館、OSETTAIギャラリー田中、フォトギャラリー素麺オジサン「小豆島手延べ素麺製作所跡地」、TUG BOOKS、あずきベーカリー、うすけはれ、蔵ギャラリー&カフェ(ヤマトイチ醤油)、珈琲とおやつタコのまくら、東洋オリーブ直営店、Daniel’s cafe and loungeダニエルズ小豆島、Fine Port Gallery、Atelier Tatin Theater箱舟、タネむすび堂、多聞寺、星ノソラ、オリビアン小豆島 夕陽ケ丘ホテル、BASILICO CAFÉ、草壁ハム製作所、清見寺、道の駅・海の駅小豆島ふるさと村夢想館/ギャラリー、AZUKIYA shodoshima、OASIS、小豆島町役場商工観光課 オリーブナビ小豆島、小豆島ベイリゾートホテル、SEASiON、石井岩男ギャラリー、ゆる里、国際ホテル、たまりば(順不同)

(四国新聞・2023/06/29掲載)


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