香川県高松市の漆芸家・後藤健吉さんと、現代美術家の朝子さん夫妻による「光」をキーワードにした企画展「モノクロームの光」が、同市塩江町の市塩江美術館で開かれている。漆の黒を追求した平面作品と、胡粉(ごふん)を用いた白色の立体作品などで構成される白と黒の空間が広がり、それぞれが放つ温かな光を感じ取ることができる。17日まで。

 健吉さんは香川漆器の技法の一つ後藤塗宗家の次男。一貫して黒漆をバックに街並みを蒔絵(まきえ)で表す平面作品を制作している。2009年に日展特選を受賞し、県美術展覧会審査員も務めた。朝子さんは彫刻家で京人形司十三世面屋庄三に師事。胡粉を塗り重ねた白色の人形や立体作品などを創作し続け、国内外で個展やグループ展を開いている。
 2人での作品展は15年の東京での開催以来8年ぶり。2人の合作のほか、健吉さんは漆額や漆器など約15点、朝子さんは立体造形や写真など約20点を展示しており、いずれもここ10年ほどで手がけた作品だという。


漆額「時のまにまに」シリーズなどを紹介する後藤健吉さん=香川県高松市塩江町、市塩江美術館

漆額「時のまにまに」シリーズなどを紹介する後藤健吉さん=香川県高松市塩江町、市塩江美術館


 健吉さんは縦147センチ、横97センチの漆額「時のまにまに」シリーズを中心に展開。艶やかな黒の背景に銀粉の濃淡で海外の街並みを緻密に描き、その上にはプラチナ箔(はく)を施した雲が浮かぶ。ベネチアの街並みを表した「心象風景Ⅱ」(08年)では雲を黒面であしらい、教会の尖塔がそびえ立つ風景が印象的だ。


禅の世界観を表現した立体作品や写真などを解説する妻の朝子さん

禅の世界観を表現した立体作品や写真などを解説する妻の朝子さん


 朝子さんは立体作品と写真で禅の世界を表現。胡粉を塗り重ねた白色の立体作品は、人が悟りの境地に至るまでの段階を10枚の絵で表した禅画「十牛図」をモチーフにしており、天体を模した球体上で牛がゆったりと過ごす様子がうかがえる。
 さらに、江戸時代の禅僧・仙厓義梵(せんがいぎぼん)の書画「○△□」から着想を得て県内の風景に溶け込んだ丸い貯水タンクや三角形の光、四角い窓や扉などを撮影した写真が並び、現代美術と禅が融合したかのような空間に浸ることができる。朝子さんは「光があることによって見えてくる風景を楽しんで」と話している。
 入場料は一般300円ほか。問い合わせは同館、電話087-893-1800。


高松市塩江美術館



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