綿々と続く命 紙と影で表現 切り絵作家・長谷川隆子個展 高松・27日まで
香川県観音寺市の切り絵作家・長谷川隆子(41)の個展「うぶすな」が、高松市牟礼町の市石の民俗資料館で開かれている。庵治・牟礼両地区で産出される庵治石などを取り入れた巨大な亀の切り絵が繊細な影を生み出し、幻想的な空間を演出している。27日まで。
長谷川は愛媛県出身で京都市立芸術大大学院を修了。香川に移住後、手すき和紙の美しさに魅了され2016年ごろから切り絵制作を始めた。現在は香川大非常勤講師を務める傍ら芸術士などとして創作の楽しさを伝えている。
長谷川の作品は、地域独自の歴史や民話などをモチーフにした切り絵を作り、それを照らして生じる影でインスタレーションに仕立てるのが特徴。個展のタイトル「産土(うぶすな)」は、人が生まれた土地やその土地の守護神を意味するという。
今展で企画展示室に展開するメインのインスタレーション作品は白い阿波和紙を使い、庵治・牟礼両地区特産の鉱石やさまざまな植物を背負った大型の亀(縦約3メートル、横3・8メートル)を切り絵で表現。太古から姿を変えず長寿とされる亀を脈々と続いていく土地に重ね合わせているという。照明の工夫によって空間全体に影が広がり、自然豊かな風土のイメージが浮かび上がる。
このほかエントランスホールには、植物の種子約60種類をモチーフにした切り絵作品などが並ぶ。長谷川は「紙と影が織りなす産土の世界観に想像を膨らませてもらえたら」と来場を呼びかけている。
入場料は一般200円ほか。6、12日午前10時30分から切り絵を組み合わせてカーテンを作るワークショップがある(先着各20人、有料)。問い合わせ、申し込みは同館、電話087-845-8484。