生活用品で半世紀振り返る 瀬戸内海歴史民俗資料館テーマ展 来月3日まで 洋服や家電、漫画本など250点 職員とボランティアが企画、収集
1970年代から半世紀にわたって使われてきた生活用品を紹介するテーマ展が、香川県高松市亀水町の瀬戸内海歴史民俗資料館で開かれている。収蔵品整理などを行う同館ボランティアが家庭で愛用していた家電製品などの生活用品約250点の展示を通して、社会や人々の暮らしぶりの変化を読み解く。同館職員とボランティアによる共同企画の展覧会は初めて。9月3日まで。
古い生活用品に再び光を当て、民俗資料としての価値を見いだすのが狙い。そのため「モノ」を資料として扱う視点を強調し、展覧会のタイトルを「我(わ)が家の思い出モノ語り―モノ・コト・ヒトが紡ぐ50年―」としている。展示品は県内在住の50~70代のボランティアら約10人の協力を得て、洋服や家電、漫画本などを1年以上かけて収集したという。
テーマ展はそうして集められた用品を、時計や計算機などの家電、衣服、趣味嗜好(しこう)品など大きく四つのジャンルに分けて構成している。洋服の流行の変遷を取り上げたコーナーでは、戦後主流だった家庭洋裁を経て70年代以降から既製服が普及したという社会の変化を紹介。高度経済成長とともに流行した革製ジャケットや毛皮のハーフコート(いずれも70年代)から、平成期のファストファッションまでがずらりと並ぶ。
用品の一部には「初めてのボーナスで買った」「沢田研二に憧れて購入」といった思い出のエピソードが添えられており、市井の人の心情に触れる工夫も凝らされている。
落語を録音していたラジカセ(90年代)などを出展した同館ボランティア歴9年の吉田光俊さん(74)は、「この機器のおかげで趣味が広がった。来場者と懐かしさを共有できたら」と話している。
同館開館50周年記念展の一つ。入場無料。問い合わせは同館、電話087-881-4707。
(四国新聞・2023/08/11掲載)