宇宙をテーマにした創作落語を披露する「宇宙落語会」が9月17日、香川県さぬき市鴨庄の源内音楽ホールで開かれる。京都大花山天文台(京都市)の保存・維持を目的に設立された花山宇宙文化財団が主催し、香川県内での開催は初めて。同財団理事長で京都大名誉教授の柴田一成さんが宇宙落語会のPRのため来県したのを機に、花山天文台への思いなどを聞いた。


「ぜひ多くの人に足を運んでもらいたい」と話す柴田さん=香川県高松市中野町、四国新聞社

「ぜひ多くの人に足を運んでもらいたい」と話す柴田さん=香川県高松市中野町、四国新聞社


 ―落語会が始まった経緯は。
 天文学の面白さを分かりやすく幅広い層に伝えようと、宇宙好き、落語好きの京大OBが中心となって2011年にスタートした。宇宙と落語を組み合わせたら興味を持ってもらえるのでは、という単純な思いつきがきっかけだった。以来、京都のほか大阪や東京、神戸などで20回以上の公演を重ねている。
 ―花山天文台の支援も目的に開催しているのか。
 私は04~19年まで台長を務めていた。14年から財政難で存続の危機にある同天文台の支援も目的に開いている。同天文台は1929年に創立され、所有する口径18センチの望遠鏡は現役としては日本最古で、現在も最先端の科学研究に用いられている。創立当初から一般向けに施設を公開するなどしており、「アマチュア天文学の聖地」として親しまれてきた。だが、2018年に岡山天文台(岡山県浅口市)が新たな付属天文台として整備されたのに伴い、天体観測研究所としての役割を終えた。施設の老朽化などにより維持経費の確保が難しくなっている。落語会を通して花山天文台の存続への機運を高めたい。
 ―香川で開催する理由は。
 同財団理事の京大OBがさぬき市出身というつながりで、初の地方開催地として香川を選んだ。実は、香川と天文台は深いつながりがある。同市多和の天体望遠鏡博物館の村山昇作代表理事は京都出身で、中学生の頃に花山天文台に訪れたのをきっかけに天文学に興味を持ったそうだ。また、高松市の企業が花山天文台の支援のため10年間にわたって計1億円を寄付することを決めてくれた。香川とは深い縁があると思う。
 ―どんな落語会になる。
 京大出身の落語家・桂福丸さんが宇宙をテーマにした落語、上方講談師・旭堂小南陵(きょくどうこなんりょう)さんが同天文台の初代台長・山本一清の波瀾(はらん)万丈な人生を題材にした講談を披露する。定員は先着500人。夕方からは野外音楽広場「テアトロン」(同市鴨庄)で、ウェブ申し込みの先着50人を対象に星空観賞会を開き、ガイドの案内で天の川や夏の星座などを見てもらう。天文学の面白さが凝縮されたプログラムになっているので、ぜひ多くの人に足を運んでもらいたい。

(四国新聞・2023/08/18掲載)



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