残暑、涼求めて 風鈴、揺れる放哉の句 土庄の記念館
香川県小豆郡土庄町で最晩年を過ごした漂泊の自由律俳人、尾崎放哉(1885~1926年)の資料を展示する同町の小豆島尾崎放哉記念館で、放哉の句を紹介する「俳句風鈴展」が開かれている。風鈴の短冊には放哉が小豆島で詠んだ句や、学生時代に作った定型俳句が記され、涼しげな音色とともに来館者を楽しませている。9月3日まで。
同館は、放哉のついのすみかとなった小豆島霊場58番札所の西光寺奥の院「南郷(みなんご)庵」を復元した施設。風鈴展は、放哉が1925年8月20日に入庵したのを記念し、2017年から毎年この時季に実施している。
風鈴は、水色や薄い黄色、ピンクなど涼やかな色合いのガラス製で、同館の軒先や庭に飾り付けられている。短冊には「来る船来る船に一つの島」「浮草風に小さい花咲かせ」など放哉が小豆島で詠んだ句のうちの76句や、学生だった1900(明治33)年に作った定型句「教場に机ばかりや冬休暇」が記されており、来館者は気になる作品を手に取って、じっくりと眺めていた。
同館の職員は「放哉のファンにも、知らない人にも楽しめる作品を集めた。気軽に立ち寄ってもらえれば」と話している。
庭の風鈴は自由に観賞できるが、館内への入場は中学生以上220円、小学生110円が必要。水曜休館。問い合わせは同館0879-62-0037(午前9時~午後5時)。
(四国新聞・2023/08/19掲載)