探鳥会 高松市・栗林公園 花鳥めでる非日常体験 生態系学ぶ機会にも
野鳥の鳴き声に耳を澄ませ、姿やしぐさを観察するバードウオッチング。小さな花々など普段は気付かない自然の魅力にも触れ合えるとあって根強い人気を誇る。日本野鳥の会香川県支部(川南勉支部長)は香川県高松市の栗林公園などで「探鳥会」を開いており、初心者に渡り鳥などその季節でなければ見られない鳥たちの居場所を案内している。市街地にありながら緑が広がる特別名勝で鳥たちを探してみた。
日本野鳥の会県支部は1984年に結成し、現在約200人の会員が所属。毎月第2日曜に栗林公園、第3日曜に琴平山(琴平町)で開いている探鳥会は、定点で行うことで季節ごとに訪れる鳥種の変化が確認しやすいのが特徴だ。
梅雨のさなかの7月9日、同園であった464回目の探鳥会に参加した。この日は北門近くの芝生広場に集まった参加者30人が、初心者組とベテラン組の二手に分かれて園内を散策。ベテラン組に同行すると、50~80代の常連らが400~600ミリの望遠レンズを付けたカメラや高倍率の双眼鏡を手にして、注意深く周囲を見渡していた。
ピーヒョピーヒョピー…。群鴨池辺りまで歩くとかわいらしいさえずりが聞こえてきた。「キビタキだね」と川南支部長。夏は庭園の西に位置する紫雲山の木々が生い茂り、野鳥たちの格好の隠れ家となることから目視で姿を確認するのは難しくなるという。「観察を楽しむなら繁殖期の春や、北方から渡り鳥が訪れる秋から冬にかけてがお薦め」と教えてくれた。
スイレンやユリ科のヤブカンゾウといった季節の花々を眺めながら歩いていると、北湖中央にある島で翼を広げるカワウや低空飛行するツバメ、メジロ、ヒヨドリなどを観察できた。川南支部長によると、かつて冬鳥だったハクセキレイや夏鳥のヒクイナが留鳥化する傾向にあるそうで、温暖化などの影響で生態系が変わっている現状が園内でもうかがえるという。「野鳥の観察が自然環境について考えるきっかけになれば」と探鳥会の意義を口にした。
約2時間の散策を終えた後は、見つけた鳥を報告しあって種類などを数える「鳥合わせ」を行う。この日確認できた鳥は初心者組と合わせて21種。親子で参加した同市の池田旺士郎君(10)と姉の真衣香さん(13)は「生き物にとってより良い環境を目指すために、これからも川の清掃活動などに取り組んでいきたい」と話していた。小動物が生息できる場所を保全するためにも、自分が今できることを考えたい。
参加費は100円(要入園料)。問い合わせは同会、メール〈kaituburi.kagawa@gmail.com〉。
(四国新聞・2023/08/26掲載)