江戸時代から香川県高松市香川町浅野地区に伝わる「ひょうげ祭り」の10日開催を前に、同祭り保存会(上原勉会長)が8日、同町内で祭具作りを行った。朝早くから保存会のメンバーや地域住民が集まり、野菜や稲わらなどを使って神輿(みこし)や刀、毛やりなどを丁寧に作り上げた。


サトイモの茎とカボチャを使って、地域住民の手で一つ一つ丁寧に作られる刀=高松市香川町

サトイモの茎とカボチャを使って、地域住民の手で一つ一つ丁寧に作られる刀=高松市香川町


 ひょうげ祭りは、水不足に苦しむ農民のために新池を築造した矢延平六の徳をしのぶとともに、水への感謝と豊作を祝う祭り。毎年9月の第2日曜に行われ、シュロの皮で作ったちょんまげや飼料袋の裃(かみしも)などで奇抜に着飾り、顔に派手な化粧を施してにぎやかに練り歩く“天下の奇祭”として知られる。渡御行列は市無形民俗文化財に、神輿などの神具一式は県有形民俗文化財にそれぞれ指定されている。
 県農協香川浅野支店駐車場(同町)で行った祭具作りには、同保存会と地元の浅野福寿会のメンバー計約30人が参加。ヒバや竹、わらなどを使って、神輿や太鼓、毛やりなどを製作した。このうち行列の供侍が腰に差す刀は、サトイモの茎にカボチャの鍔(つば)をはめ込んで固定し、持ち手を金や銀などのカラーテープで装飾。長さ約70~120センチの刀約50本を完成させた。


ヒバで覆うなどして神輿を作り上げていく保存会のメンバーら

ヒバで覆うなどして神輿を作り上げていく保存会のメンバーら


 この日は、祭りで行列に加わる浅野小学校の4年生約55人も訪れ、保存会のメンバーらが手際よく作り上げていく様子を見学したり、作業の一端を体験したりしていた。
 祭りは10日午後2時から。約150人が浅野地区集落研修センターから新池まで約2キロを練り歩く。無料駐車場を川東小に設け、午後0時半から香川総合センターと同研修センター、同1時半から同総合センターと新池のそれぞれの区間で送迎バスをピストン運行する。雨天決行。問い合わせは浅野コミュニティセンター〈087-888-2537〉。

(四国新聞・2023/09/09掲載)



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