西讃を代表する秋祭り「さぬき豊浜ちょうさ祭」。金糸銀糸の豪華絢爛(けんらん)で勇壮な太鼓台(ちょうさ)が練り歩き、町が祭りムード一色に染まることで有名だ。今年は10月6~8日に開かれるそうだが、一足先に祭りの熱気を感じようと、実物のちょうさなどを展示している観音寺市豊浜町の市ちょうさ会館を訪ねた。


圧倒的な豪華絢爛さを誇る実物のちょうさ=観音寺市豊浜町、市ちょうさ会館

圧倒的な豪華絢爛さを誇る実物のちょうさ=観音寺市豊浜町、市ちょうさ会館


 同館は1993年にオープン。三つのスペースに分けて、ちょうさにまつわる数々の資料を展示している。早速足を踏み入れると、威勢のいい太鼓の音が聞こえてきた。音に導かれるように進むと、巨大なちょうさの横で、太鼓をたたいている若い男性2人の姿が見えた。
 2人はいずれも地元の豊浜中3年の大久保勇虎さん(14)と仁木彪雅さん(14)。毎年祭りに参加しているそうで、来月の本番を前に太鼓の練習をしようと、自由にたたくことのできる同館に立ち寄ったのだそう。大久保さんと仁木さんは「自治会ごとにちょうさが違って、どれも華がある。今年も町を盛り上げるので、多くの人に見に来てほしい」と熱っぽく語ってくれた。
 おなかに響く太鼓の音を聞く機会に恵まれて良かったと思いながら、祭りの歴史を紹介している第一展示室へ向かった。案内板によると、文化文政の時代には既にちょうさ祭りがあったとされ、江戸末期から明治にかけてはちょうさ同士の「けんか祭り」として知られていたが、昭和になるとその美しさを競うようになり華やかさが増したという。
 ちょうさは高さ約5メートル、重さ約2トンで200以上のパーツからできているそうだ。神が座るという七重や、魔よけの役目を果たす竜を金糸であしらった布団締め、約1・5メートル四方の掛け布団などがそれぞれ展示されており、その迫力や精巧な作りから、職人も祭りへの熱い思いを持っていることがひしひしと伝わってきた。


展示などを通じて祭りの熱気を感じることのできる「ちょうさ会館」

展示などを通じて祭りの熱気を感じることのできる「ちょうさ会館」


 先ほどの2人と会った第二展示室では実物のちょうさが展示されている。材木を切り出すところから手作りで製作したものだそうだ。赤色ときらびやかな金色の刺しゅうのコントラストが美しい。本番さながらにちょうちんも備え付けられ、その豪華絢爛さに目を奪われた。
 このほか、ちょうさの組み立て方のパネル展示や各自治会の法被とちょうちんのディスプレーなどもあり、地域住民と祭りの関わりの深さに理解を深めることができた。
 ちょうさについて知れば知るほど本番が待ち遠しくなった。「予習」のため足を運んでみてはどうだろう。

(四国新聞・2023/09/09掲載)



関連情報