幕末から大正にかけて活躍した香川県高松市塩江町ゆかりの儒学者・藤沢南岳(1842~1920年)の書を集めた特別展が23日、同市上林町の大西・アオイ記念館で始まった。同市の茶道師範・美沢宗包さん(94)が集めた約30点を展示しており、訪れた人たちは南岳の世界観が味わえる書の数々に見入っている。24日まで。


藤沢南岳の書に見入る来場者=高松市上林町、大西・アオイ記念館


 南岳は、鳥羽伏見の戦いで幕府方に付いたために朝敵とされた高松藩を、勤皇の方針へ転換させ存亡の危機から救った功労者。小豆島の「寒霞渓」、大阪の「通天閣」を命名したことでも知られる。特別展は南岳の功績を知ってもらおうと同実行委が開いたもので、2021年に続き2回目。
 会場では、漢詩の大掛け軸「画石歌」をはじめ、1890(明治23)年に発表された教育勅語を書いた書幅など、これまで一般公開されたことのない作品を展示。ドイツ語や英語の響きをウグイスの鳴き声に例え賞賛する漢詩では、南岳が新旧の文化を理解する柔軟な発想の持ち主であったことがうかがえる。
 高松市香西本町の川畑守さん(81)は「流麗なものから、一字一字丁寧に揮毫(きごう)したものなど書ごとにさまざまな表現があり、非常に広い見識を持っていた人なのだと感嘆した」と話していた。

(四国新聞・2023/09/24掲載)



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