800枚近くの水田が美しい波形の模様を描き、農林水産省の「棚田遺産」などに選ばれている香川県小豆島町中山の「中山千枚田」で、ヒガンバナが見頃を迎えている。秋を迎えてやや柔らかくなった日差しを受け、真っ赤な花が黄金色の稲穂とともに輝く風景が、訪れた観光客らの目を楽しませている。


中山千枚田のあぜ道を鮮やかに彩るヒガンバナ=香川県小豆島町中山

中山千枚田のあぜ道を鮮やかに彩るヒガンバナ=香川県小豆島町中山


 ヒガンバナはマンジュシャゲとも呼ばれるヒガンバナ科の多年草。球根には毒があり、田畑を荒らす動物の侵入を防ごうと、農家があぜ道などに植えていることが多い。
 中山千枚田では2009年、地元のボランティアグループが景観保全を目的に地権者の了承があった田んぼ周辺に約550個の球根を追加で植え付けた。以降、稲刈り時期には色鮮やかな花を咲かせている。
 今年は今月中旬に咲き始め、秋雨が続いた同下旬に、あぜ道のあちらこちらで一気に花が開いた。
 友人らと一緒に訪れていた京都市の会社員、酒井久満さん(64)は「棚田で風に揺れる稲穂とヒガンバナの組み合わせは本当に美しい。坂道を頑張って歩いた以上の値打ちがある」と話した。

(四国新聞・2023/09/26掲載)



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