讃岐に流された悲運の帝(みかど)・崇徳上皇の心情を描く能楽「松山天狗(てんぐ)」が10月9日、香川県坂出市府中町の鼓岡神社で上演される。今年、重要無形文化財保持者(人間国宝)となった金剛永謹さんら、金剛流が出演。舞台の周囲にかがり火をたく「薪能」で、荘厳な雰囲気を演出する。


能楽公演「松山天狗」のチラシ

能楽公演「松山天狗」のチラシ


 公演は、地域の歴史・文化を発信しようと、地元有志や市などでつくる実行委が企画。過去に3度同じ演目を上演しているが、今回は境内に屋外特設舞台を設置し、初めて薪能を開催する。
 松山天狗は、崇徳上皇を弔うため讃岐を訪れた西行法師の枕元に、上皇の霊が立って悲憤を募らせたところに勇壮な天狗が現れ、逆臣を討つ様子を見せて慰めるという物語。金剛流は能楽五流派の一つで、動きや型に派手さがあることが特長。永謹さんは同流二十六世宗家で、日本能楽会会長も務める。
 開演は午後5時。座席数は250席で、雨天の場合は府中小学校体育館で実施。入場料は一般3千円、小中高生千円(小学生以下は保護者同伴)。市観光案内所や中央公民館などでチケットを販売している。問い合わせは実行委事務局の坂出市産業観光課0877-44-5103。

(四国新聞・2023/09/30掲載)


能楽「松山天狗」公演(坂出市)



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