三豊市は2日、同市詫間町の粟島でカート型の電気自動車「グリーンスローモビリティ(GSM)」の本格運行をスタートした。有料で週4日、1日3便を運行し、島の住民に加えて観光客らも利用できる。2020年10月から3年間かけて実証運行を進め、島内の移動サービスとしてニーズが高いと判断した。GSMの有償運行は四国4県で初めてとしている。


粟島で本格運行が始まったカート型の電気自動車「グリーンスローモビリティ」=三豊市詫間町

粟島で本格運行が始まったカート型の電気自動車「グリーンスローモビリティ」=三豊市詫間町


 粟島はフェリー以外に公共交通機関がない人口約150人の離島で、高齢化率は8割を超える。市は、住民が安心して暮らし続けられる環境づくりを目指し、新しい島内交通の手段としてGSMに着目した。
 GSMはドアのない開放型の車両で、時速20キロ未満の低速で走る。定員は6人。運行日は月、水、金、土曜(祝日、年末年始、悪天候の場合は運休。特別便を除く)。1日3便それぞれ異なるルートを設定し、時間帯別のニーズに応じて港や診療所、宿泊施設などを巡る。主な集落に停留所を設けているが、路線上であれば自由に乗り降りできるフリー乗降制を採用。ドライバーは講習を受けた住民4人が交代で務める。
 実証中は無償だったが、有償に移行。料金は年間パスポート1500円、市民限定の1回乗車100円、観光客らが対象の1日乗車券500円。車両は本格運行を機に市が購入した。
 住民の90代男性は「便利な乗り物。年を取ると歩くのがつらくなるので、大助かり」、80代女性は「通院に使っている。早速、年間パスポートを買った」と歓迎。早朝のフェリー便への接続など、ダイヤの充実を望む声も聞かれた。
 粟島でのGSM運行は、20年度に国土交通省が公募したスマートアイランド推進実証調査業務の採択を受けたのがきっかけ。21年度からは市が独自で運行を継続し、ルートやダイヤを変えながら需要を見極めてきた。利用者は年ごとに増加し、フリー乗降制とした22年度には約2300人。今年行った住民へのヒアリングで「有償となっても運行を続けてほしい」との声が大半を占めたという。
 山下市長は「実証運行を3年続けたことで、住民の足として定着してきた。今後、粟島と同様の課題を抱える地域にも展開が可能ではないか」と話している。

(四国新聞・2023/10/03掲載)


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