琴平町出身で画家や小説家などとマルチに活躍した和田邦坊(1899~1992年)の足跡を写真や作品で振り返るコレクション展が、香川県善通寺市大麻町の灸まん美術館で開かれている。今回は、邦坊ゆかりの企業や個人が所蔵する絵画を初公開。迫力のある板戸絵や県内観光地のにぎやかな様子を描いた風景画などが並び、邦坊の多彩な才能に触れることができる。11月13日まで。


県内企業などが所蔵する絵画作品を集めた展示=善通寺市大麻町、灸まん美術館

県内企業などが所蔵する絵画作品を集めた展示=善通寺市大麻町、灸まん美術館


 昨年12月から3部構成にわたって開かれている「邦坊青春グラフティー」の最終章。邦坊作品を多く収集する県内企業や個人がこれまで公開していなかった絵画作品を含めた87点を紹介している。絵画は邦坊のおいにあたり、「うどん本陣 山田家」(高松市)の創業者である山田潔さんのコレクションが中心。
 このうち縦約180センチ、横約90センチの重厚な板戸に描かれた「松鷹図」(65~75年代)は松で羽を休める白いタカが存在感を放ち、邦坊らしい豪快な筆遣いがみてとれる。戦前の金刀比羅宮参道を柔らかな色合いで描写した風景画や、「カッパ天国」と記したユーモアあふれる作品が並び、さまざまな作風を堪能できる。
 このほか、邦坊宅に残っていた東京の記者時代に書いた記事の切り抜きや写真をはじめ、公認の弟子とされる「邦輔」にまつわる寄贈資料などがずらり。同館の西谷美紀学芸員は「同館初の収蔵品目録も出版した。展示と併せて邦坊の人柄や仕事ぶりを感じてほしい」と話している。
 11月11日午後2時から学芸員による展示解説がある。入場料は一般500円ほか。問い合わせは同館、電話0877-75-3000。

(四国新聞・2023/10/18掲載)


灸まん美術館



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