瀬戸内サーカスファクトリー(高松市、田中未知子代表理事)の現代サーカス公演が11月3日、香川県丸亀市沖の広島で行われる。フランスで創作された美術作品と競演するサーカス作品「FLOE(フロエ)」に登場する巨大オブジェを地元の木材店が再現。会場となる江の浦海岸で瀬戸内海をバックに日仏2人の演者がそれぞれ幻想的な身体表現を繰り広げる。


白いオブジェを使った身体表現を披露する演者=丸亀市綾歌町、山一木材


 公演は文化庁やフランス政府などの支援を受けて開催。フランスから世界的なサーカスアーティストでフロエを創作したジャン=バティスト・アンドレさんを招き、日本の演者、目黒宏次郎さんもアンドレさんと同じ演目に挑戦する。
 地球温暖化で割れた氷山が海上を漂流している設定で、演目では五つの立方体の白いオブジェが登場。最も大きいオブジェは1辺3メートル、高さ約4メートルあり、演者はそれぞれのオブジェを飛び移ったり、オブジェの上で倒立したりする。
 25日にはオブジェを再現した同市綾歌町の山一木材で関係者向けの内覧会があり、2人が本番さながらの演技を披露。アンドレさんは「5年前から日本にフロエを持ってきたかった。プロジェクトが実現し、うれしく思う」と話した。
 オブジェは国産ヒノキの骨組みを合板で覆った構造で、解体して移送することができるという。山一木材の熊谷国次社長(74)は同社敷地内に同ファクトリーの練習拠点を整備していることを明かした上で、「工作物に対し、上手に表現してくれる。ここを拠点にしてもらい、大道具の製作などでも協力できれば」と笑みを浮かべた。
 同ファクトリーは舞台道具にこれまでも庵治石や土佐和紙など伝統産業の職人技を積極的に取り入れており、田中代表は「伝統産業が人材確保や技能継承といった課題を抱える中で、舞台芸術と職人の技を組み合わせる、これまでとは違うアプローチで風穴を開けたい」と意欲を示した。
 3日は丸亀港に午前9時と午後1時半に集合する2回公演。料金は一般3500円(往復乗船料込み)など。チケット購入は〈https://setouchicircusfactory.peatix.com/〉から。

(四国新聞・2023/10/30掲載)


瀬戸内サーカスファクトリー



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