奥殿大師像を初公開 生誕1250年 秋行事始まる 総本山善通寺
弘法大師空海の誕生1250年を記念した「秋季特別御開帳」が30日、香川県善通寺市の総本山善通寺(菅智潤法主)で始まった。通常非公開の御影堂奥殿に安置されている大師像などを別室に移して初公開、一目見ようと参拝者が続々と訪れた。11月26日までの期間中は、コンサートなど多彩な行事も計画されており、祝賀ムードを一層高めて節目の年を締めくくる。
奥殿は、空海の母の部屋があり空海誕生の場所とされる聖地で、通常は扉が閉められ、参拝者は立ち入れない。今回は御影堂隣の聖霊殿で、奥殿の様子を再現した。
中央の弘法大師坐像は江戸時代の作で、黒漆が塗られ、両目に水晶を使った玉眼で生き生きとした表情をつくり出している。大師像を守るように四天王像、両脇には愛染明王坐像と降三世(ごうざんぜ)明王像が、奥殿と同じ配置で並んでいる。聖霊殿には、両界曼荼羅(まんだら)図や12人の弟子を描いた絵も掲げられている。
菅法主らの法要後、一般公開が始まると、遍路姿の参拝者らが次々と来場。僧侶から像の説明を受け、興味深く見入った。公開を楽しみにしていたという高松市の80代の女性は「私たちが誰かに支えられているように、お大師さんも四天王らに支えられているように思えた。すごく落ち着いた気分になれ、来て本当に良かった」と感激した様子だった。
この日は、豊臣秀吉直筆とされる書状の公開(宝物館)や、仏画教室作品展(遍照閣)もスタート。また琴平町の金刀比羅宮宝物館では、空海ゆかりの仏像などの展示も始まった。このほか11月には総本山善通寺で、シンセサイザー奏者・喜多郎さんの無料コンサートや巨大曼荼羅の公開などが行われる。
聖霊殿での特別開帳は午前9時から午後4時半までで、地下の戒壇巡りと同寺宝物館を含め拝観料一般千円。金刀比羅宮宝物館との共通券は一般1500円。菅法主は「大師像に加えて、四天王像や曼荼羅も並ぶ。じっくりと拝んで、大師の教えを体感してもらいたい」と話している。
(四国新聞・2023/10/31掲載)