弘法大師空海の母、玉依(たまより)御前ゆかりの地とされる香川県仲多度郡多度津町西白方の海岸寺で5日、空海の出家宣言の書物「三教指帰(さんごうしいき)」を題材にした舞台公演が開かれる。同町出身の音楽家土取利行さん(73)によるプロジェクト。軽妙な演技と音楽を通じて空海の教えを表現する。


リハーサルを行う土取さん(右端)ら=東京都


 プロジェクトは空海の生誕1250年を機に、玉依御前ゆかりの地を広く知ってもらおうと企画。昨年11月から同寺に専門家らを招いて三教指帰を読み解く講座などを開いており、今回の舞台が集大成となる。
 三教指帰は空海が24歳で記した書物。儒教、道教、仏教の代表者がそれぞれの立場で放蕩(ほうとう)者に道を説き、仏の慈悲の教えこそが最も優れていると結論づけている。
 舞台は土取さんと能楽師の安田登さんが脚本・演出を担当。高僧が海岸寺近くの海岸を訪れた際、三教指帰を枕にしていた放蕩者に儒教など三教を説き、仏教の道に目覚めさせるというストーリーに仕立てた。高僧を安田さん、その従者を能楽師の奥津健太郎さん、放蕩者を作家・タレントのいとうせいこうさんが演じる。土取さんは多国籍の楽器を使った即興演奏で舞台を彩り、同町の僧侶も声明で参加する。
 舞台の前には空海の時代の雅楽演奏や玉依御前の歌(土取さん作詞作曲)が披露される。
 かがわ文化芸術祭2023の参加公演。午後1時30分開演。入場料は7千円(前売り6千円)。要予約。問い合わせは事務局、電話090-4503-0524。

(四国新聞・2023/11/02掲載)



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