20世紀を代表する彫刻家イサム・ノグチ(1904~88年)がデザインした照明シェード「AKARI」シリーズなどを紹介するアート・コレクション「あかりとノグチ」が香川県高松市玉藻町の香川県立ミュージアムで開かれている。生活を豊かにするデザインを追求したノグチによる「光の彫刻」が、空間を優しい光で包んでいる。10日まで。


優しい光を発する「AKARI」シリーズを鑑賞する来場者=香川県高松市玉藻町、香川県立ミュージアム


 ノグチは彫刻をはじめ空間デザインから家具作りまで幅広く手がけた。51年に岐阜提灯(ちょうちん)との出合いを機にAKARIの制作を始め、晩年まで200種類以上を生み出した。今展では52~80年ごろまでにデザインした10点を中心に展示している。
 会場には、上下に口輪があり、竹ひごが細かく施された初期ものや、左右非対称の形をした作品などバリエーション豊かな照明が並んでいる。和紙と竹ひごを用いて、環境に調和する造形を求めて試作を重ねてきたことがうかがえる。
 ノグチがデザインしたスピーカー「ラジオ・ナース」も展示。離れた場所に置いた集音機から受信した音を発する仕組みで、剣道の面のようにも見える近未来的な形をしている。また、急逝したノグチを悼んで猪熊弦一郎が描いた「Faces 13 №1(イサム・ノグチに捧(ささ)ぐ)」は、2人の親交の深さを伝えている。
 担当学芸員の窪美酉嘉子さんは、「ノグチの幅広い活動の一つとして生まれたたくさんの明かりの形や光を楽しんでほしい」と話している。
 入場料は一般410円ほか。問い合わせは香川県立ミュージアム、電話087-822-0247。

(四国新聞・2023/12/04掲載)



関連情報