「坊っちゃん劇場」(愛媛県東温市)が制作したミュージカル「KANO~1931 甲子園まで2000キロ~」の香川公演が14、15両日に香川県観音寺市観音寺町のハイスタッフホールで開かれる。日本の統治下にあった戦前の台湾を舞台にした高校野球の実話に基づく作品。子どもたちが民族の垣根を越えて甲子園出場を果たし、決勝まで勝ち進んだ成長の軌跡を通して日台の友好の絆が描かれている。


「KANO」のオリジナルのユニホームに袖を通して作品をPRする佐伯市長(左)と、坊っちゃん劇場の越智代表理事=観音寺市役所


 KANOの主人公は、松山商業の野球部監督として6度の甲子園出場に導いた近藤兵太郎(1888~1966年)。近藤は台湾に渡り、中部の嘉義市にある嘉義農林学校(現嘉義大学)を率いて1931年に全国中等学校優勝野球大会(現全国高校野球選手権大会)に初出場した。嘉義農林は原住民、漢民族、日本人の混成チームで、近藤は「野球に民族は関係ない」とナインを鼓舞し、甲子園で奇跡の快進撃を続けて準優勝した。
 タイトルは、嘉義農林の略称でユニホームの胸の校名から付けた。脚本は映画「パッチギ!」「フラガール」の羽原大介さん。演出を「少年隊」の錦織一清さん、音楽監督をヒット曲「きみの朝」の岸田敏志さんが手がけている。
 日本劇団協議会が主催する中四国巡回公演で、県内では観音寺市のみの開催。同市の小中学生が遠足で坊っちゃん劇場を訪れて観劇やワークショップを体験していることが縁になり、香川での公演地に選ばれた。
 坊っちゃん劇場は、観劇を希望する同市の小中学生と保護者を対象に109人分の招待券を贈呈。越智陽一代表理事が11月20日、市役所を訪れ、佐伯市長に目録を手渡した。
 14日が午後6時半開演、15日が午前11時開演。入場料は一般3千円ほか。全席自由。問い合わせは坊っちゃん劇場、電話089-955-1174。

(四国新聞・2023/12/13掲載)



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