絵画に描かれた人物の姿に着目した収蔵品展「アリとキリギリス 絵画の中の働く人・遊ぶ人・夢想する人」が香川県高松市昭和町の高松市歴史資料館で開かれている。主に江戸時代の屏風(びょうぶ)や掛け軸など約40点が並び、当時を生きた人々のさまざまな描写が楽しめる。1月28日まで。


絵画に描かれた人物に着目した収蔵品展=香川県高松市昭和町、市歴史資料館


 江戸期に庶民の労働や文化人の活動がどのように捉えられていたのかを読み解くのが狙い。会場では「働く人」「遊ぶ人」「夢想する人」の三つに分けて展示している。
 このうち「働く人」のコーナーでは、歌人が職人になりきって歌の優劣を争う「歌合(うたあわせ)」を題材にした「職人尽絵巻」が目を引く。医者や大工だけでなく、鏡とぎや弓つくりなど珍しい職業も見られ、かつてあった幅広い職をうかがい知ることができる。
 「遊ぶ人」では、高松藩の儒官久家暢斎(きゅうけちょうさい)の宴席を表現した「玉蘭精舎祝宴図」を紹介。梶原藍渠(らんきょ)や後藤漆谷ら讃岐を代表する文人が書を囲んで談笑したり、詩句を創作したりと思い思いに過ごす姿が描かれている。絵に添えられた文章には登場人物の名前や宴席での行動が詳細に記されており、併せて見ることで理解を深めることができる。
 同展担当の左海(さかい)きほ学芸員は「現実だけでなく理想も含んだ当時の人々の描かれ方に注目してほしい」と話している。
 入場料は一般200円ほか。12月29日から1月3日までは休館。問い合わせは高松市歴史資料館、電話087-861-4520。

(四国新聞・2023/12/28掲載)



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