新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行し、少しずつ「日常」が戻ってきた2023年。国外に目を向けると、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザに侵攻し、長引くロシア・ウクライナ戦争とともに戦火の拡大が危ぶまれている。来る24年の干支(えと)は「辰(たつ)」。竜が天に昇るがごとく、勢いがあって晴れやかな一年としたい。香川県内を中心に四国の初詣スポットを紹介する。

香川県

国分寺(香川県高松市国分寺町)

 四国霊場80番札所。境内全体が国の特別史跡で、本堂、本尊、釣り鐘はいずれも国の重要文化財に指定されている。中でも釣り鐘は四国最古のものとされ、鐘にまつわる伝説も残る。除夜の鐘突きは31日午後11時55分ごろから。お守りなどを買い求めた人を対象に、購入額に応じて来年の干支にちなんだオリジナルの布製バッグ(数量限定)や縁起物のお菓子をプレゼントする。
 【メモ】JR国分駅から徒歩約5分。高松自動車道高松西ICから車で約20分。問い合わせは国分寺、電話087-874-0033。


屋島寺(香川県高松市屋島東町)

 屋島南嶺にある四国霊場84番札所。初詣と兼ねて初日の出を拝もうと、例年大勢の参拝客が詰めかける。宝物館には国指定重要文化財の本尊「十一面千手観音」や源平合戦に関する宝物などを収蔵しており、屋島や寺の歴史に触れることができる。山上からは瀬戸内海の多島美を一望。近くには、昨年オープンした屋島山上交流拠点施設「やしまーる」もある。
 【メモ】JR、琴電の両屋島駅から屋島山上まで車で約10分。山上には駐車場(有料)がある。問い合わせは屋島寺、電話087-841-9418。


八栗寺(香川県高松市牟礼町)

 商売繁盛や学業成就、縁結びの御利益で知られる。31日午後11時から除夜の鐘突きの整理券を先着108人に配布し、鐘を突いた参拝客には同寺オリジナルの「宝銭」と清酒を振る舞う。三が日は本尊の聖観音や多宝塔の大日如来を開帳するほか、辰年にちなんで本堂天井の龍図を公開する。辰の絵柄の切り絵(100枚限定、奉納料700円)を授与する。
 【メモ】琴電八栗駅から八栗ケーブル登山口駅まで徒歩約20分。同山上駅から徒歩約5分。31日午後10時~1日午後6時は同ケーブル付近で交通規制がある。裏参道は3日午後6時まで車両通行止め。問い合わせは八栗寺、電話087-845-9603。


石清尾八幡宮(香川県高松市宮脇町)

 高松市民の氏神様として広く親しまれ、毎年大勢の参拝客が詰めかける。31日午後3時から大はらい式。同11時半ごろから豚汁やぜんざい、清酒を振る舞う。1日午前0時前から参拝客と一緒にカウントダウンを行い、新年の幕開けを祝って鏡開きなどを行う。獅子舞の奉納もある。
 【メモ】JR栗林公園北口駅から徒歩約10分。周辺では31日から3日にかけて交通規制があり、同宮駐車場は利用不可。亀岡公園東側の御旅所などを臨時駐車場とし、JR高松駅から同宮までを結ぶ無料のシャトルバスを運行する。問い合わせは石清尾八幡宮、電話087-862-5846。


新たな年の幸せを願い、手を合わせる参拝客=2023年1月1日、高松市宮脇町の石清尾八幡宮


田村神社(香川県高松市一宮町)

 「讃岐一宮」と称され、水神を祭る神社としても知られる。家内安全や安産、合格などを祈願しようと、市内外から多くの参拝客が訪れる。31日午後2時から大はらい式があるほか、新年を迎えると同時に初祈とうを行う。1日は午前6時から境内でうどんを販売。本殿前には干支の「辰」にちなんだ巨大な絵馬を飾り付ける。
 【メモ】高松自動車道高松西ICから車で約10分。琴電一宮駅から徒歩約10分。三が日は近くの県農協高松市中央一宮支店とコープ一宮に臨時駐車場を用意する。問い合わせは田村神社、電話087-885-1541。


長尾寺(香川県さぬき市長尾西)

 四国霊場87番札所。739(天平11)年、行基が霊感を得て本尊となる聖観世音菩薩像を刻み、堂宇を建立して安置したのが始まりとされる。三が日は境内にある開運石にぶつけることで厄を払う厄よけ玉(1個300円)を授与する特設コーナーを設け、人気商品の甘納豆おはぎ(2個入り200円)も販売する。三味線餅つきや大鏡力餅運搬競技は、今回も執り行われない。
 【メモ】高松自動車道志度ICから車で約10分。琴電長尾駅から徒歩約3分。問い合わせは長尾寺、電話0879-52-2041。


大窪寺(香川県さぬき市多和)

 女体山(標高776メートル)の麓にある四国八十八カ所霊場の結願寺。境内は讃岐山脈の山々に囲まれ、除夜の鐘が幻想的に鳴り響く中で新年を迎えられる。日中は門前の飲食店も営業し、名物の打ち込みうどんなどを味わい、心も体も温める人も多い。新年はうるう年で、伝説で「逆打ち(逆の順番で巡礼)をすると功徳がある」とされており、“最初”の札所として例年以上の人出が予想される。
 【メモ】高松自動車道志度ICから車で約40分。JR志度駅などから市コミュニティバスも運行。問い合わせは大窪寺、電話0879-56-2278。


与田寺(香川県東かがわ市中筋)

 厄よけ寺として知られる四国霊場の奥の院。新型コロナウイルスやインフルエンザといった感染症対策として、厄よけ祈願(受付時間は午前8時~午後4時)は、今回も本人または代理人のみが本堂に立ち入れる形式を継続する。三が日が晴天の場合は例年通り、普段見ることができない多宝塔を開帳する。3日午後1時からは柴燈(さいとう)大護摩供養が厳かに営まれる。
 【メモ】高松自動車道白鳥大内ICから車で約3分。約600台の無料駐車場がある。最寄り駅はJR三本松駅。問い合わせは与田寺、電話0879-25-4726。


おみくじで一年の運勢を占う家族連れら=2023年1月1日、東かがわ市中筋の与田寺


東照寺(田ノ口薬師)(香川県東かがわ市白鳥)

 厄よけの「田ノ口薬師」として知られ、日本三薬師の一つ。本尊の秘仏「薬師瑠璃光(るりこう)如来」は、弘法大師空海が満濃池を修築後に同寺に立ち寄って作り上げたとされる。新型コロナウイルスなどの感染症対策として、本堂への立ち入りは今回も厄よけ者に限るが、地下の回廊巡りはできる。本堂前の石臼に数え年分の数のさい銭を入れてきねでつく習わしも行える。
 【メモ】高松自動車道白鳥大内ICから車で約10分。最寄り駅はJR讃岐白鳥駅。問い合わせは東照寺、電話0879-25-4817。


白鳥神社(香川県東かがわ市松原)

 日本武尊(やまとたけるのみこと)が白鳥になって舞い降りたという伝説が残り、祭神の一つになっている。干支にちなんで竜があしらわれたジャンボ絵馬(高さ5・5メートル、幅7・5メートル)が設置されており、1日午前0時から願い事を自由に書き込める。新年の幕開けから2時間程度、甘酒やお茶など温かい飲み物の接待もある。3日は恒例の新年弓道大会が開かれる。境内には日本一低いとされる御山(標高3・6メートル)があり、社務所で登山証を発行する。
 【メモ】高松自動車道白鳥大内IC、引田ICから車でそれぞれ約10分。最寄り駅はJR讃岐白鳥駅。問い合わせは白鳥神社、電話0879-25-3922。


白峯寺(香川県坂出市青海町)

 崇徳上皇の菩提(ぼだい)寺としても知られる四国霊場81番札所。本堂や上皇を祭る頓証寺殿(とんしょうじでん)など9棟が国の重要文化財に指定されている。31日午後11時50分ごろから除夜の鐘を突き、参加者へ記念に干支の土鈴を贈る。三が日の特別ご祈とう・おはらいは午前9時から午後4時まで、30分ごとに受け付ける。初護摩祈とうは三が日とも午後1時から。お守りや縁起物の授与はすでに始まっている。
 【メモ】高松自動車道の坂出、高松西、高松檀紙各ICから車で約20分。駐車場は約250台。問い合わせは白峯寺、電話0877-47-0305。


郷照寺(香川県綾歌郡宇多津町)

 青ノ山山麓の高台にある四国霊場78番札所。815年に弘法大師空海が訪れて厄よけの誓願を行ったことから、「厄よけうたづ大師」とされ信仰を集める。31日夜から3日夜まで、約500年前に造られた池泉鑑賞式庭園をライトアップする。1日午前0時から除夜の鐘を突き始め、参加者には記念品を贈る。厄よけ祈とうは三が日が午前8時~午後5時、4日以降は午前9時~午後4時に受け付ける。
 【メモ】JR宇多津駅から車で約5分、徒歩約15分。高松自動車道坂出ICから車で約10分。問い合わせは郷照寺、電話0877-49-0710。


滝宮天満宮(香川県綾歌郡綾川町滝宮)

 菅原道真が讃岐国司を務めた際の居住地跡と伝えられる学問の神様ゆかりの地で、高校や大学などの入試を控えた受験生と保護者らが合格祈願を兼ねて訪れる。三が日には、「福」の文字が入った福あめの振る舞いが4年ぶりに再開する予定。1月25日の初天神祭で行うお焚(た)き上げは、同宮で配布したお守りやしめ縄などに限って受け付ける。ぜんざいなどの接待は今年も行わない。
 【メモ】琴電滝宮駅から徒歩約5分。高松自動車道府中湖スマートICから車で約5分。問い合わせは滝宮天満宮、電話087-876-0199。


総本山善通寺(香川県善通寺市善通寺町)

 四国霊場75番札所で、弘法大師空海の生誕地として知られる真言宗善通寺派の総本山。1日午前0時からは新年最初の法要「修正会(しゅしょうえ)」が営まれるとともに、市によるダイシモチ麦入りのうどん接待、限定御朱印の授与が始まる。うどんは、今年の空海誕生1250年にちなみ、1251食が振る舞われる。また正月特別護摩祈とうもあり、1日は1日6回、2、3日は各4回実施する。
 【メモ】高松自動車道善通寺ICから車で約10分。JR善通寺駅から徒歩約15分。問い合わせは総本山善通寺、電話0877-62-0111。


大勢の参拝客でにぎわう総本山善通寺の境内=2023年1月1日、香川県善通寺市善通寺町


金倉寺(香川県善通寺市金蔵寺町)

 四国霊場76番札所。天台宗寺門派の宗祖である智証大師円珍の生誕地で、旧陸軍第11師団長時代の乃木希典が寄宿していたことでも知られる。境内には、大みそかに訪ねてきた妻を追い返したという「乃木将軍・妻返しの松」も残る。1日午前0時から餅やお守りを数量限定で配るほか、三が日の午後3時からは正月初護摩供養を実施する。三が日は駐車場が無料となる。
 【メモ】高松自動車道善通寺ICから車で約5分、JR金蔵寺駅から徒歩約10分。問い合わせは金倉寺、電話0877-62-0845。


金刀比羅宮(香川県仲多度郡琴平町)

 「こんぴらさん」の愛称で親しまれ、本宮まで785段、奥社まで1368段ある石段が有名。初詣には毎年、県内外から大勢の参拝客が訪れる。31日午後5時から本宮で大はらえ式、1日午前0時からは新年最初の祭事である歳旦祭が営まれるほか、限定お守りや限定御朱印紙の授与を始める。31日夜から3日午後8時までは大門を開門しており、夜間参拝ができる。
 【メモ】JR、琴電の両琴平駅から表参道までは徒歩約15分。高松自動車道善通寺ICから車で約15分。問い合わせは金刀比羅宮、電話0877-75-2121。


讃岐宮県護国神社(香川県善通寺市文京町)

 敷地面積約3・4ヘクタールの境内は木々に包まれ、厳かな雰囲気が漂う。本宮には、明治維新以来の県出身の戦没者3万5千余柱が祭られている。このほか境内には日本一社交通神社、先賢堂、警察消防招魂社などもある。1日午前0時から歳旦祭を営むとともに、恒例の新春福引(先着800人)を実施。2日午前10時からは尺八や琴の演奏が披露される。三が日はキッチンカーの出店もある。
 【メモ】高松自動車道善通寺ICから車で約10分。JR善通寺駅から徒歩約10分。問い合わせは讃岐宮県護国神社、電話0877-62-0048。


大水上神社(香川県三豊市高瀬町)

 水の神様として古くからあがめられ、「讃岐一宮」の田村神社(高松市)に対し、「讃岐二宮」として親しまれている。31日午後11時半ごろから地元の和太鼓集団「響屋(おとや)」の年越しライブがある。1日午前0時から歳旦祭。31日から1日にかけて境内をライトアップ。新年の干支にちなんだ竜の絵や書道作品を境内に飾り付ける。
 【メモ】高松自動車道さぬき豊中ICから車で約15分。問い合わせは大水上神社、電話090-1574-7832。


琴弾八幡宮(香川県観音寺市八幡町)

 観音寺市のシンボル、銭形砂絵「寛永通宝」を展望できる琴弾山に鎮座。「勝負の神様」や「技芸の神様」と言われ、信仰を集める。本殿へは琴弾公園入り口の大鳥居から381段の石段を上る。1日から3日まで新年祈願祭、4日から交通安全祈願祭など。銭形砂絵は、市観光協会がライトアップを「黄金色」に変更している。点灯時間は日没から午後10時まで。28日~3日はオールナイトでともされ、初詣客を出迎える。
 【メモ】高松自動車道さぬき豊中、大野原の各ICから車で約15分。JR観音寺駅から徒歩約15分。問い合わせは琴弾八幡宮、電話0875-25-3828。


雲辺寺(徳島県三好市)

 観音寺市大野原町との県境に位置し、「四国高野」と呼ばれる四国霊場66番札所。三が日は午前10時から午後3時半まで祈願を受け付ける。初の企画として、お守りの「福袋」を用意した。三が日にそれぞれ限定7袋。雲辺寺山頂公園では雪遊びができるスポットが年末年始は28日~3日に開設される。気温が平地より7度くらい低く、防寒対策が必要。
 【メモ】高松自動車道大野原ICから雲辺寺ロープウェイ山麓駅まで車で約15分。ロープウエーの運行時間は午前8時~午後5時で、元日のみ午前6時~午後6時。問い合わせは雲辺寺、電話0883-74-0066、雲辺寺ロープウェイ、電話0875-54-4968。


徳島県

大麻比古神社(徳島県鳴門市)

 大麻比古大神と猿田彦大神を祭る。阿波国の一ノ宮として「おおあささん」と親しまれている。31日午後3時から師走の大祓(おおはらえ)があり、罪やけがれをはらい清める。1日午前0時に若水奉献、同6時から歳旦祭、2日同10時から氏子崇敬者隆昌・交通安全祈願祭、3日同10時から元始祭がある。
 【メモ】板東駅から徒歩約20分。駐車場は約千台。一部交通規制あり。問い合わせは大麻比古神社、電話088-689-1212。


箸蔵寺(徳島県三好市)

 箸蔵山山頂の標高600メートル付近にある真言宗寺院。合格祈願や厄よけを祈る参拝客でにぎわう。除夜の鐘は31日午後11時40分ごろから。三が日には護摩祈祷(きとう)が毎日4回(午前6時半、同10時半、午後2時、同6時)ある。国道32号沿いの麓からロープウエーがあり、31日午後11時~1日午前3時、1日午前6時~午後6時に運行する。2、3両日は午前9時~午後6時の運行。
 【メモ】徳島自動車道井川池田ICからロープウエーの駅まで車で約5分。問い合わせは箸蔵寺、電話0883-72-0812。


高知県

国分寺(高知県南国市)

 四国霊場29番札所。真言宗智山派。スギゴケで覆われた庭園で知られ、「土佐のこけ寺」として住民や参拝客に親しまれている。除夜の鐘は31日午後11時45分から。僧侶の読経後、参拝客も突ける。ぜんざいの接待もある。和菓子などが楽しめる「お寺カフェ」は大みそか、正月三が日も日中営業する。
 【メモ】JR後免駅から車で約10分、高知自動車道南国ICから車で約5分。問い合わせは国分寺、電話088-862-0055。


竹林寺(高知県高知市)

 聖武天皇の勅願で、行基が唐の五台山になぞらえて神亀元(724)年に創建し、2023年に開創1300年を迎えた古刹(こさつ)。四国霊場31番札所で、真言宗智山派。「三人寄れば文殊の知恵」と親しまれる文殊菩薩(ぼさつ)が本尊になる。31日午後11時半ごろから除夜の鐘。参拝者も鐘を突け、甘酒が振る舞われる。お福分けはなし。隣接して県立牧野植物園(27日~1月1日休園)がある。
 【メモ】高知東部自動車道(高知南国道路)高知南ICから車で約15分。JR高知駅南口発着の「MY遊バス」(平日9便、土日曜・正月12便)も利用できる。問い合わせは竹林寺、電話088-882-3085。


愛媛県

和霊神社(愛媛県宇和島市)

 宇和島藩初代藩主・伊達秀宗の家老で非業の死を遂げた山家清兵衛を祭る。31日午後4時から大はらい式、除夜祭があり、同11時ごろからかがり火をたく。年明けに合わせ伊予神楽の舞い初め、歳旦祭、新年祈願祭を執り行う。古くなったお札などを燃やす「古神符焼上の儀」は1月10日午後3時半から。同中旬ごろまで花ちょうずで参拝者を迎える。正月の授与品は年内から準備している。
 【メモ】JR宇和島駅から徒歩約8分。神社と周辺に約60台駐車できる。問い合わせは和霊神社、電話0895-22-0197。


伊予豆比古命神社(愛媛県松山市)

 創建二千余年の歴史を持つ縁起開運・商売繁盛の神様として知られ、「椿神社」「お椿さん」の名で親しまれている。31日午後4時から除夜祭。1日は午前0時から歳旦祭、同2時から宮司が鞘淵(さやぶち)で湧き水をくんで神前に献上する「若水くみの神事」がある。松山中央高校生が制作した恒例の大絵馬もお目見えする。
 【メモ】伊予鉄バス椿神社前、古川横田からそれぞれ徒歩約10分。駐車場約200台。問い合わせは伊予豆比古命神社、電話089-956-0321。


(四国新聞・2023/12/28掲載)


関連情報