工芸界で国内最大規模の公募展「第70回日本伝統工芸展」が2日、香川県高松市玉藻町の県立ミュージアムで開幕した。漆芸、陶芸、染織など計7部門の約220点を展示。日本最高峰の匠(たくみ)たちによる「技と美」が新春の県都に集結し、来場者の目を引きつけている。21日まで。


全国の作家が手がけた力作を鑑賞する来場者=香川県高松市玉藻町、県立ミュージアム

全国の作家が手がけた力作を鑑賞する来場者=香川県高松市玉藻町、県立ミュージアム


 同展は全国10カ所で開かれる巡回展。高松展は8カ所目で、各部門の重要無形文化財保持者(人間国宝)による40点や全国の入賞作をはじめ、四国在住作家の入選作を取り上げている。
 香川が漆芸の盛んな地域であることから、漆芸部門は全入選作79点を紹介している。このうち、日本工芸会新人賞を受賞した高松市の北岡道代さんの乾漆(かんしつ)蒟醤(きんま)箱(ばこ)「瑠璃藤花(るりとうか)」は、日差しを受けて光り輝く樹齢400年の藤の花がモチーフ。ふたには点彫り蒟醤の技法を用いて、緑の葉の広がりを鮮やかに表現している。
 最高賞に当たる日本工芸会総裁賞には善通寺市出身の松本達弥さん=千葉県在住=の彫漆(ちょうしつ)箱「遥かに」が選ばれ、瀬戸内の穏やかな海をイメージした作品が注目を集めている。
 ここ数年欠かさずに訪れているという高松市の自営業鈴木美紀さん(51)は、「職人が積み重ねてきた技術の粋(すい)を間近で感じられ、毎回感銘を受けている」と話していた。
 会期中無休。6、7、8、13、21の各日午後1時30分から陳列品解説がある。14日午後1時30分から松本さんが「彫漆と文化財修復」と題して講演する。

(四国新聞・2024/01/03掲載)


香川県立ミュージアム



関連情報