2022年3月に死去した高松市出身のソプラノ歌手で国立音楽大教授だった佐竹由美(なおみ)さんの追悼演奏会が3月3日、香川県高松市玉藻町のレクザムホールで開かれる。取り上げるのは「ハレルヤコーラス」で知られ、佐竹さんが生前大切に歌っていたというヘンデルの「メサイア」。故人を慕う有志が心を一つに壮大な歌声を響かせる。


指揮者の辻さん(右端)から指導を受ける合唱メンバー=高松市栗林町、栗林小

指揮者の辻さん(右端)から指導を受ける合唱メンバー=高松市栗林町、栗林小


 佐竹さんは高松一高、東京芸大を経て同大学院を修了し、博士号を取得。1984年に第53回日本音楽コンクール声楽部門で2位(1位なし)、88年には第8回バッハ国際コンクール声楽部門で日本人として初入賞(4位)を果たした。バッハやヘンデルの作品を中心に全国で公演を重ねた。
 追悼演奏会は高松一高の同窓生らでつくる実行委(委員長・田中雅純香川短大名誉教授)が主催。メサイアは佐竹さんが大切にしていたレパートリーの一つだといい、生前「いつか故郷で演奏したい」と語っていたことから、その遺志を引き継ごうと企画した。
 実行委によると、メサイアは管弦楽と独唱、合唱などがあり全47曲で構成。当時の人々を熱狂させた娯楽作品の側面もあり、厳かなだけでなく躍動感のある曲調も魅力だという。演奏会では全曲を披露するほか、メサイアの序文を楽曲に仕立てた作品も全員で歌う。
 合唱は公募で集まった県内外の知人ら60人超が参加。独唱は佐治名津子さん、白川明日歌さんら香川や東京で活躍する声楽家14人が担当し、管弦楽は佐竹さんと協演した東京の四重奏団を中心に編成する。指揮は佐竹さんの夫で洗足学園音楽大教授の辻秀幸さんが務める。辻さんは「由美が残してくれた仲間のつながりを大切にして、素晴らしい演奏会にしたい」と話している。
 会場は小ホール。午後2時開演。問い合わせは田中委員長、電話090-8285-2642。

(四国新聞・2024/01/11掲載)



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